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「新築住宅販売件数」と「中古住宅販売件数」からみえる景気動向とは?

2021/10/21

知恵のハコ

自分の家を持つことは、日本人にとって大きな夢ですが、米国人にとっても同じです。住宅は家計にとって非常に大きなインパクトを与え、人の心理や消費行動などにも影響を及ぼすことから、経済を語るときの大事な指標といわれています。
経済ニュースや新聞等で米国の「新築住宅販売件数」「中古住宅販売件数」といった単語をよく目や耳にしますが、これがどんな指標で、いったい何がわかり、景気動向にどんな影響を与えるのか、知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこの住宅指標について詳しくみていきたいと思います。

  • 新築住宅販売件数

まずは「新築住宅販売件数」からみていきましょう。マイホームを持つことを人生の夢と言うならば、まっさらな誰も住んだことのない、新築の家を手に入れることは、高い憧れではないでしょうか。新築住宅販売件数が増えれば好景気になると直感的に思いますが、景気の先行指標としてどのような意味があるのかみていきましょう。

新築住宅販売件数(米国)
米国のひと月の新築住宅の販売件数(売買契約が締結された時点)。全米ならびに4つの地域別(北東部、中西部、南部、西部)の新築住宅の販売件数を集計したもの
発表時期 前月分を毎月25日頃に発表
発表機関 米国商務省国勢調査局(U.S. Census Bureau)
ポイント 住宅の購入が成立した場合、家の建築に関わる業種(木材や屋根材、電気配線、家具、家電など)への波及効果から、景気の先行指標として注目度が高い

なぜ景気の先行指標となるの?

新築住宅販売件数が景気の先行指標とされる理由は、未着工の物件であっても売買が成立しているからです。こうした場合、売買成立後、家の建設に関わる業種がうるおってくると考えます。雇用が生まれ、木材など多くの建築材料が発注されます。それらの材料は工場で製造され、運送業者によって運ばれ、保管業者の倉庫で保管されます。そうしたすべての活動がGDPの増加につながるため、新築住宅販売が増加すると、経済の伸びが期待できるといわれています。

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※上記はイメージであり、すべてを表しているわけではありません。

  • 中古住宅販売件数

次に中古住宅販売件数です。日本では一度住宅を購入すると定住することが多いですが、米国では所得やライフスタイルの変化にあわせて転居する傾向があります。米国では中古住宅市場が新築住宅市場の約8倍に相当することから、米国の住宅市場の状況をみるためには、中古住宅販売件数に着目することは非常に重要です。

中古住宅販売件数(米国)
米国のひと月に販売された集合住宅を含む中古住宅販売件数。中古一戸建てのほか、コンドミニアムや共同住宅を含めた販売件数や販売価格、在庫を4つの地域別(北東部、中西部、南部、西部)に集計したもの
発表時期 前月分を毎月25日頃に発表
発表機関 全米不動産業者協会(NAR(National Association of Realtors))
ポイント 中古住宅市場は新築住宅市場よりも規模が大きく、住宅の購入にともなう家具や家電などの個人消費への波及効果から、景気の先行指標として注目度が高い

なぜ景気の先行指標となるの?

中古住宅販売件数は、住宅購入にあわせて家具や家電などの購入が増えることや、リフォーム関連需要などにもつながることから、景気の先行指標として注目されています。また、販売件数だけではなく、平均販売価格なども大きな意味をもつといわれています。住宅価格は資産価格にも影響し、資産価格が上昇すれば消費行動が促進され、景気の先行きに対して前向きな気持ちになり、収入は変わらなくても住宅ローンの借り換えを通じて個人消費が増えると考えられています。

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※上記はイメージであり、すべてを表しているわけではありません。

新築でも中古でも住宅を購入する際は、ほとんどの人は現金一括ではなく、ローンを組んで代金を支払うことになります。住宅販売件数が増加傾向にある時は、安定した収入を見込んでいる人の割合が多く、個人消費が増えて景気が良くなるといわれています。

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※期間:2001年8月~2021年8月(月次)季節調整済み、年率換算。
※ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※上記は過去の情報であり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。

まとめ

住宅販売件数は景気動向のカギを握る指標のひとつといえます。不景気になるとFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを行います。住宅を購入する際、人々はローンを組んで銀行からお金を借りますが、金利が下がればローンを組みやすくなります。そうなると人々の購買意欲が高まるというわけです。ただし、2007年~2008年の米住宅バブル崩壊以降は、住宅販売と景気の連動性に対する有効性は疑問視されるようになったことには留意が必要です。
コロナ禍のリモートワークの普及とそれにともなう在宅時間の増加により、人々の住環境に求める快適さや重要性の度合いが上がっているようです。そして低金利政策などが重なり、住宅販売件数は過去と比較して高い水準にあります。住宅指標を今後の景気動向や先行きを見通す材料として注目してみてはいかがでしょうか。

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