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中東のスタートアップ国家 イスラエル

2019/03/13

知恵のハコ

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皆さまはイスラエルという国名を聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?多くの方がニュースでよく見聞きする民族や宗教の紛争等を思い浮かべるかもしれません。でも、実は今後の世界経済の発展に少なからず影響力を持っている国であることをご存知でしょうか?今回はイスラエルの隠れた影響力についてご紹介させていただこうと思います。

イスラエルの基本情報

まずはイスラエルの地理について確認してみましょう。イスラエルは約2.2万平方キロメートルと日本の四国と同じぐらいの国土面積で、西は地中海、南は紅海に面しています。東のヨルダンとの国境付近には、世界的にも有名な死海があります。この死海は、高濃度の塩湖で身体が浮かぶことで有名であり、高級リゾート地としても知られています。

首都については、自国の首都をエルサレムであると宣言していますが、国際連合はこれを認めておらず、各国が大使館を置くテルアビブが事実上の首都となっています。しかし、2017年12月にアメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認め、2018年5月にテルアビブからエルサレムにアメリカ大使館を移転させたことで、国際的に物議を呼びました。

エルサレムの風景

エルサレムの風景

聖地エルサレム

イスラエルの人口は、約868万人で、ユダヤ人が約75%、次いでアラブ人その他が約25%の民族構成となっています。(2018年7月現在)民族宗教であるユダヤ教が広く信仰されていますが、信教の自由が保証されており、イスラム教、キリスト教を信じている人もいます。エルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの信仰の対象があることから、有史以来、各宗教・民族間の争いの火種となってきました。1981年には「エルサレムの旧市街とその城壁群」として世界遺産に登録されましたが、上記のようなデリケートな問題をはらんでいたため、隣国のヨルダンによる申請という変則的な手続きにより認められました。

イスラエルの経済

イスラエルは、地理的に鉱物資源等に恵まれていないことから、基本的には輸出を志向する産業構造となっています。
建国以来、産業の柱となっているのがダイヤモンドの研磨・加工です。インドやベルギーと並びダイヤモンドの研磨・加工を行う流通拠点として世界的に有名で、政府主導で基幹産業へと発展させてきました。世界に16ヵ所あるダイヤモンド取引所のうち、2つの取引所がテルアビブにあります。2016年の研磨ダイヤモンドの輸出額はイスラエルの輸出額のうち約21%を占めています。
一方、近年はR&D(Research and Development:研究開発)の拠点として世界中のハイテク分野の企業から注目されています。Googleを始め、IBMやMicrosoftなど多国籍企業のR&D拠点が約300ヵ所(2015年現在)あるとともに、ベンチャー企業も数多く、革新的な国家として世界から高い評価を受けています。

Bloomberg 2019 Innovation Index
1位 韓国
2位 ドイツ
3位 フィンランド
4位 スイス
5位   イスラエル  
6位 シンガポール
7位 スウェーデン
8位 アメリカ
9位 日本
10位 フランス

※BloombergのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

イスラエルの経済(イメージ)

こうした背景には、1948年の建国以来、近隣諸国と多くの戦争を経験してきた歴史に関係しています。軍需産業の高度な技術の民間転用による起業が国によって推奨されており、特にサイバーセキュリティやAI等のハイテク産業を急成長させたことで、中東のシリコンバレーと呼ばれるようになりました。2000年には世界でいち早くプログラミング教育を義務教育過程である高校の必修科目とし、人口に比べてIT分野で非常に影響力のある国となったのです。現在ではハイテク分野に限らず、様々な分野でスタートアップ企業が世界中から注目されています。

米国を除いたNASDAQ上場企業数       
国名企業数
カナダ 173
中国 168
イスラエル 95
日本 13
台湾 11
インド 11
※2019年2月現在
イスラエル発のイノベーション一例
ナノテクノロジー USBメモリ
オンデマンドデジタル印刷
ニューメディア・IT GPSによる渋滞情報アプリ
インスタントメッセンジャー    
セキュリティ技術 無人航空機・ドローン
ファイアーウォール
ライフサイエンス カプセル内視鏡
移動型緊急手術室
クリーン技術 太陽熱温水器
海水淡水化
自動車技術 自動運転システム
V2X(車車間・路車間通信)
農業技術 点滴灌漑技術
高収量・高糖度品種
※各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成

最後に

いかがでしたでしょうか?日本との関係が薄いように思われますが、2018年11月に、日本の総務省とイスラエルの国家サイバー総局との間で、「サイバーセキュリティ分野における協力に関する覚書」が締結されています。今後、IT分野の発展とともに両国間の経済関係はより身近になっていくかもしれません。

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