【”お困りごと”に回答します!】株式を保有し続ける難しさと心構え
2025/11/10

お困りごと
高配当株を中心に個別株投資をしています。配当金で生活資金を賄うことを目指していますが、株価が値上がりすると利益を確定したくなります。本来は配当金目的なので株価の上下に左右されず保有を続けるべきですが、迷いが生じます。どのように向き合えば良いでしょうか?(50代・男性)
回答します!
日本証券業協会の2024年度(令和6年度)証券投資に関する全国調査(個人調査)によると、株式の購入理由は「配当をもらえること」が51.8%と最も高く、配当金は株式投資における重要な要素の1つであると言えます。高配当株を中心とした個別株投資の目的が安定した配当収入を得ることあったとしても、いざ株価が上昇すると、「今積みあがっている利益を逃したくない」という気持ちから、売却して利益を確定したくなることもあるでしょう。このような葛藤は、多くの投資家が経験するもので、自然なことです。
この迷いに向き合うには、まず投資の目的を再確認することが重要です。質問者の方のように「配当金で生活資金を賄う」という目標を掲げている場合、株価の上下は本質的に目標達成に直接関係ありません。株価が上昇しても、配当利回りや企業の配当方針が安定している限り、目標達成には近づいています。むしろ、株価が上がったからといってすぐに売却してしまうと、配当収入の柱を失うリスクも生じます。
とはいえ、株価が大きく上昇し割高だと感じる場合には、売却して利益を確定することも選択肢の一つです。こうした判断を感情に左右されず冷静に行うためには、自分なりの「ルール」を設定しておくことをおすすめします。たとえば、「株価が〇〇%以上上昇したら、(〇〇年分の配当になるので)売却を検討する」といった基準を設けることで、客観的に判断できるようになります。もちろん売却益は将来の配当の先取りですから、毎年計画的に使うのが大前提です。
投資において「迷い」は避けられないものです。しかし、目的を明確にし、ルールを設けて判断することで、その迷いを減らすことができます。また、資産形成の目標や考え方は、長い期間を経て変化することもあります。その時々の自分の価値観やライフプランに照らし合わせながら、納得のいく選択を重ねていくことが、最終的には重要だと考えます。
(執筆 : 五十嵐 さやか)



