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金利上昇で私たちの生活はどう変わる?影響を考えてみよう

2020/04/08

ふやす

はじめに

「ゼロ金利」や「マイナス金利」などをよく耳にすると思いますが、今はこのような超低金利環境が当たり前の時代です。1999年に「ゼロ金利政策」を導入してから、日銀は「異次元の量的緩和政策」を継続してきました。このように、日本は過去20年以上にわたり、低金利時代が長く続いています。

足もとでは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により景気減速が懸念されており、今すぐには金利上昇が考えにくい状況です。しかし今後、ウイルスの感染が終息し、再び景気が回復した場合、世界で金利が上昇すれば、日本もそれに追随し金利が上昇する可能性も考えられます。

では、金利が上昇した場合、私たちの生活にどのような影響が出るのでしょうか。金利と私たちの生活の関係性について具体的にみていきましょう。

■住宅ローン返済負担が増える?

超低金利環境に加え、住宅ローン減税などの政策の後押しもあり、ここ数年では個人の住宅購入が大きく増えました。

世の中の金利に合わせて、ローン金利も上昇した場合、返済額が増加することは容易に想像できると思います。ただし、住宅ローンの種類によって、その影響に違いがあるため詳しくみていきましょう。

住宅ローンは大きく分けて、以下の3種類があります。

① 固定金利型・・・全期間おいて金利が固定されます。金利変動に関わらず、返済額は変わりません。

② 変動金利型・・・定期的にローン金利の見直しが行われます。金利変動に伴いローン金利も変動し、返済額が変わります。

③ 固定金利期間選択型・・・固定金利型と変動金利型の両方の特徴を併せ持つタイプで、当初3年、5年、10年など一定期間は固定金利で、その期間が過ぎると再度一定期間の固定金利型か、変動金利型かを選ぶことができます。

 このように金利変動の影響を受けるのは、②と③の2つです。

まず、②の変動金利型のローン金利は、現在の超低金利では実質1%を切るような低水準が提示される場合もあります。その水準が長く続けば、固定金利型のローン金利よりも有利であるという点から多くの方が利用しています。しかし、金利が上昇するとローン金利も上昇する傾向にあり、その場合はトータルの返済額が増加するため、返済計画を直撃することとなります。③の固定金利期間選択型は、固定金利期間が終了した際に変動金利型を選べば変動金利が、固定金利型を選べば改めて一定期間の固定金利が適用されます。いずれもその時点の金利水準で新たにローン金利が決まるため、金利変動が返済計画に影響を与えることとなります。

このように、②と③の利用者にとって、「ローン金利上昇⇒ 返済負担増」となるため、ローン金利の引き上げが予定されると、「金利の低い今のうちに繰り上げ返済しちゃおう!」と行動する人が増えるようです。

■投資行動が変わる?

一般的に景気回復局面では株式やリートが買われる一方で、債券が売られることで金利が上昇します。その後、金利上昇に合わせて預金金利も追随して上昇することが想定されます。

バブルが崩壊する前の日本は今では考えられないような高金利時代で、当時の郵便局の定額貯金の金利はなんと8%もありました。100万円を1年間預けると8万円の利息が付き、「72の法則」では、なんと約9年で倍の200万円に増加するというのです!

これは極端な例ですが、一般的に預貯金である程度の利回りが確保できるようになれば、「リスクを覚悟して株式などに投資しなくても、預貯金で十分」と考える人が多かったのもうなずけます。

昨今では「貯蓄から投資へ」が着実に広まっていますが、今後日本景気が回復局面を迎え預金金利が上昇したとき、再び貯蓄へと逆戻りしてしまうのか、あるいは投資が加速するのか、私たちにどれだけ投資が根付いたのかが問われることになるでしょう。

*資産を倍にするために必要な年数を簡易に計算するための法則。計算式:72÷金利(%)=投資期間(年数)

■物価は上昇するけど・・・

景気回復を伴う金利上昇局面においては、消費が活発になり物価が上昇することが想定されます。 日本銀行(以下、日銀)は、消費者物価の上昇率(インフレ率)を年2%とする「物価安定の目標」を掲げ、実現に向けた金融政策を行っています。このため、物価上昇率がこれに近づくと日銀による政策金利の引き上げも想定されることから、世の中の金利上昇が加速することになります。

■企業活動はどうなる?

景気回復局面では、企業活動は活発になり、設備投資や研究開発などで資金需要が増大することが考えられます。企業は銀行から資金調達をしながら事業活動を行っていることから、資金調達の金利が上昇すると企業の返済負担が大きくなります。前述した通り、日銀が政策金利を引き上げて企業の資金需要が増大する速度以上に資金調達の金利上昇が加速した場合、企業は返済負担増を意識するようになり、資金需要は減少へと反転してしまいます。

また、金利上昇によって、企業の主要な資金調達先である銀行は企業の返済能力について審査を厳しくし、融資への態度が慎重になることも相まって、企業活動が抑制されることになります。

過去に1989年5月から1990年8月にかけて、日銀が公定歩合(日銀が民間銀行に貸し出す金利)を2.5%から6.0%まで引き上げ金融引き締めを行ったことにより、多くの企業において資金調達が難しくなり、これがバブル崩壊へとつながりました。少し極端な例ですが、金利上昇が企業活動に与える影響は大きく、金利・物価の上昇時にはそれらのバランスを図りながら施策を行う日銀の政策手腕が問われることになります。

最後に

いかがでしょう。過去20年以上にわたり、低金利が当たり前という環境下で私たちは生活をしていますが、いつか景気回復、そして金利上昇という時代がやってくるかもしれません。

金利が上昇すると、住宅ローン、投資、物価など私たちの身近なことに大きく影響します。いざそうなった時でも慌てず対処できるよう、今のうちに住宅ローンや投資のポートフォリオの見直しなどをして備えておくことが大切なのかもしれません。

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