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アセットマネジメントOne

コロナ禍でインバウンド需要減少!日本経済への影響は?

2020/09/04

知恵のハコ

東京五輪が開催され、賑わうはずだった2020年の夏。以前は街中で見かけることの多かった訪日外国人(以下「訪日客」といいます)も、新型コロナウイルスの流行後はほとんど見かけることがなくなりました。外出自粛ムードが続き、各国において2020年4-6月期のGDP(国内総生産)が歴史的な落ち込みを見せる中で、訪日客の減少によって影響を受けている業界ももちろんあります。今回は、そうしたインバウンド需要の重要性について考えてみたいと思います。

インバウンド需要とは

インバウンドは、直訳すると「内側へ向かってくる」という意味合いで、一般的に訪日客を指す言葉として使われます。また、インバウンド需要は、「訪日客向けに日本国内のモノ・サービスの消費を提供すること」を指します。
訪日客は年々増加して2019年には3,188万人に達し、その旅行消費額は4.8兆円の市場にまで拡大していました。ところが、2020年の訪日客は3月が前年同月比93%減、4月から7月は4ヵ月連続で前年同月比99.9%減となるなど、厳しい状況が続いています。

インバウンド需要減少により影響を受ける業界は?

例えば以下のような業界が挙げられます。

  • 宿泊業(ホテル、旅館、民泊等)

  • 小売業

  • 飲食業

  • 交通機関(航空、鉄道、バス、船舶、レンタカー等)

飲食業、交通機関については外出自粛ムードによる国内需要の激減もあり、コロナ禍で最も影響を受けている業界の一つです。 さらに、訪日客による旅行消費額の費用別構成比を見てみると、「宿泊費」「買物代」が占める割合が高いことから、特に「宿泊業」「小売業」は訪日客の激減による影響が大きいことが予想されます。

イメージ:訪日客旅行消費額の費用別構成比(2019年)

※比率の合計は、四捨五入の関係で100%とならない場合があります。
出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

  • 旅館宿泊業(ホテル、旅館、民泊等)
    訪日客の減少により影響を受けやすい業界として、まず宿泊業が思い浮かぶという方が多いと思います。Go To トラベルキャンペーンが開始したことで客足が戻り始めた地域や宿泊施設もありますが、訪日客の旅行先として人気の高い東京、大阪、京都、奈良などにおいては宿泊客に占める訪日客の割合も多かったことから、インバウンド需要の激減が大きな打撃となっています。


旅館

  • 小売業(百貨店等)
    訪日客が最もお金をかけているのが「買物代」で、特に「菓子類」「化粧品・香水」「医薬品」「衣類」などへの出費が多いようです。
    中でも「化粧品・香水」「衣類」等の購入の場として「百貨店」が挙げられます。昨年の百貨店の顧客のうち訪日客は5~8%程度を占めていましたが、直近(2020年7月)はそのシェアは0.8%にまで減少し、訪日客による売上高は前年同月比88.7%減となっています。

インバウンド需要が減っている中でも強い業界は?

一方、こうした状況下でも強い業界もあります。いくつか例を紹介します。

  • ドラッグストア
    訪日客の「菓子類」「化粧品・香水」「医薬品」の購入の場として挙げられるドラッグストアも、インバウンド需要の恩恵を受けていた業界の一つです。商品構成の関係等でインバウンドの売上高が高かった一部の企業は苦戦を強いられていますが、衛生に対する国民の意識が高まっている今、ドラッグストア大手は概ね好調のようです。

  • Wi-Fi、電子決済等のインフラ関連
    「インバウンド需要=観光業」のイメージが強いですが、それだけではありません。訪日客にとって便利な環境整備も挙げられます。
    例えば、Wi-Fi環境や電子決済の整備は五輪開催に向けて需要が高まっていた分野でもあります。新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及や、「現金の手渡し」が敬遠されるようになった風潮も相まって、こうした分野はコロナ禍で訪日客が減少する中でも成長していくことが期待されます。

  • E-commerceEコマース関連
    近年は、訪日客が帰国後SNSにアップロードした「日本での購入品」の写真を見て欲しくなった外国人が、同じものを通信販売で購入する、というケースも多々見受けられるようです。おうち時間が増えている今だからこそ、旅行気分を味わうためにSNSを閲覧して通信販売で現地のものを購入する、という需要は高まっていると予想されます。


E-commerce

今後のインバウンド需要の展望

新型コロナウイルスの流行が収まりを見せない中、外国人が日本を再び訪れるようになるまでには少し時間がかかりそうですが、先行きはそう悲観することばかりではないかもしれません。
日本政策投資銀行と日本交通公社が欧米豪やアジアの12地域に住む海外旅行経験者6,266名を対象に行った調査では、「新型コロナウイルス終息後に観光旅行したい国」として、日本はアジア居住者の中では1位(56%)、欧米豪でも2位(24%)の人気となりました。日本を高く評価する理由として「買い物」「食事」「治安のよさ」等に加え、「清潔さ」を挙げる人が多かったということです。そうした期待に応えられるように日本特有の「おもてなし」を活かし、今のうちに訪日客を迎える準備を整えておくことが重要だと考えられるでしょう。早く、自由に旅行できる日常が戻ってくることを願うばかりです。

訪日客

出所:日本政府観光局(JNTO)、観光庁「訪日外国人消費動向調査」、一般社団法人日本百貨店協会「全国百貨店売上高概況」、(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2020年度 新型コロナ影響度特別調査)」*等のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

*調査期間:2020年6月2日~6月12日、調査対象:韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスの海外旅行経験者6,266人

※当記事におけるデータ、グラフは過去の情報であり、将来の動向を示唆、保証するものではありません。

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