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米中貿易摩擦 ~その経緯と気になる今後の見通しは?~

2020/02/05

知恵のハコ

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米中貿易摩擦の発端は?

「米中貿易摩擦」という言葉を頻繁に経済ニュースで聞くようになったのは2018年春頃のことです。2016年11月にアメリカ大統領に選出されたトランプ氏は、「対中貿易赤字の解消」「貿易の不均衡の解消」を公約に掲げました。その具体策として、中国の鉄鋼製品などへの関税引き上げを宣言したのが2018年3月のことです。トランプ大統領は貿易赤字を悪と捉え、他国の製品に関税をかけて値段を上げることで自国の製品を売り易くし、アメリカ国内の雇用を確保しようと考えました。

関税合戦の様相

それ以降、トランプ政権は次々と中国製品への関税や関税引き上げを発動しました。これに対し中国も報復措置としてアメリカからの輸入品に関税をかけるなどし、2018年の終わりにはアメリカは中国製品のほぼ半分、中国はアメリカ製品の約7割に関税をかけるという泥沼の関税合戦の様相を呈しました。しかし、好調なアメリカ経済や利上げに伴うドル高、中国以外にも他国から関税をかけられたことなどを背景にトランプ大統領の思惑通りとはならず、アメリカの2018年対中貿易赤字は4,192億ドルにのぼりました。

関税合戦の様相(イメージ)

問題は貿易赤字だけにあらず

中国製品への課税だけでなく、2018年11月にはトランプ政権が中国の通信機器大手ファーウェイへの締め付けを強化し、大きなニュースになりました。トランプ政権がファーウェイの締め付けを強化したことから、貿易赤字だけではないアメリカの思惑、中国がハイテク技術の分野で急激に台頭し覇権を握ろうとしていることへの危機感が見て取れます。中国への制裁が目に見える効果に繋がらず、国内の産業界からの反対があるにも関わらずトランプ政権が対中政策を変えないのには、世界の覇権争いという側面で、中国への締め付けを期待する人々が少なからずいるという背景もあるようです。

一時休戦も…

2018年12月にアルゼンチンで開かれたG20でトランプ大統領と中国の習近平国家主席の直接会談が行われ、関税のかけ合いは一時休戦となりました。その後も閣僚級の交渉は続けられましたが2019年5月に決裂し、関税のかけ合いが再開されました。2020年1月には米中貿易協議で第一弾の合意がなされ双方が一部譲歩した内容となったものの、貿易摩擦問題が払拭されたとは言い難い状況が続いています。

今後の展開は?

米中貿易協議第一弾の合意内容には、中国が米国からの輸入を今後2年間で約2,000億ドル増加させることや、知的財産権の保護、技術移転の禁止などが盛り込まれており、まずはこれらが合意通りに履行されるかに注目が集まりそうです。アメリカは大統領選を2020年11月に控え対中政策の堅持を国内にアピールしたいこと、中国は景気が足元で芳しくない状況にあることから、双方がこれ以上の譲歩を認める可能性は低いでしょう。米中貿易摩擦問題を巡る観測が、世界の金融市場に影響を与える展開が当面続くと見込まれます。

米中の今後の展開は?(イメージ)

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