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新NISA枠内の投資信託、 どう活用する? 選び方やポイントを解説

2024年から始まった新NISAは、旧NISAと比べ制度が拡充されて非課税メリットが増えました。一方、新NISAで新設されたつみたて投資枠と成長投資枠で、投資信託をそれぞれどのように活用すればよいかわらない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、新NISA枠内での投資信託の活用方法、投資信託の種類や選ぶ際のポイントなどをわかりやすく解説します。

目次

新NISAでの投資信託、取り扱いはどうなる?

新NISAでは、旧制度のつみたてNISAや一般NISAと同様に投資できる投資信託と、除外された投資信託があります。

まずは、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の対象投資信託について紹介します。それぞれの特徴を把握しておきましょう。

つみたて投資枠の対象投資信託

つみたて投資枠の対象となる投資信託は、現行のつみたてNISAと同じで、長期・積立・分散投資に適しているとして金融庁が定める要件を満たす公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。
2023年9月1日時点での投資対象商品数は以下のとおりです。

  • ●指定インデックス投資信託:209本
  • ●指定インデックス投資信託以外の投資信託:31本
  • ●上場株式投資信託(ETF):8本

最新の対象商品一覧については金融庁HP「つみたてNISAの対象商品」に掲載されています。詳しいファンドを知りたい方は確認しておくとよいでしょう。

また「新NISAのつみたて投資枠の対象商品は?カテゴリ別にご紹介」の記事でも、つみたて投資枠の対象商品や実際にどんなファンドがあるのかを詳しく解説しているので、つみたて投資枠について気になっている方はぜひご覧ください。

成長投資枠の対象投資信託

成長投資枠では、投資信託やETF以外にも株式や不動産投資信託(REIT)など、旧制度の一般NISAで投資できる商品の多くが対象となっています。

ただし、一定の要件が追加されたことから、一般NISAの対象投資信託でも、要件に当てはまらない一部の投資信託は成長投資枠の対象から除外されています。

成長投資枠で追加された投資信託の要件は以下のとおりです。

  • ●信託期間が無期限または20年以上
  • ●デリバティブ取引を用いた一定の商品(高レバレッジ型など)でないこと
  • ●決算頻度が毎月でないこと

一般社団法人 投資信託協会に掲載されている「NISA成長投資枠の対象商品」から、最新の対象商品リストが確認できます。

新NISAの成長投資枠についてより詳しく知りたい方は「新NISAの成長投資枠とは?つみたて投資枠との違いや使い方を解説」の記事も併せてご覧ください。

投資信託の種類

投資信託の分類として代表的なものに、インデックスファンドとアクティブファンドの2種類で分ける方法があり、それぞれ特徴が異なります。
特徴を把握して、自分に合ったファンドを選びましょう。

インデックスファンド アクティブファンド
運用方針 特定の指数(インデックス)への連動を目指す 特定の指数(インデックス)を上回ることを目指す
組入銘柄 特定の指数の構成銘柄と同様 運用のプロが市場や企業を調査・分析して選定
運用コスト 総じて低い インデックスファンドに比べて高い
特長 ・運用方針がわかりやすい
・市場全体に投資できる
・市場平均を大きく超えるリターンは期待しにくい
・市場平均を大きく超えるリターンも期待できる
・インデックスファンドではカバーできない銘柄に投資することも可能
スクロールできます

※上記は一般例であり、すべてのファンドに当てはまるものではありません。

インデックスファンド

インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXなどの市場の動きを示す指数(インデックス)に連動した成果を目指す投資信託です。
指数に近い値動きをするため、市場と近い運用成績となり、基本的には市場平均を大きく超えるリターンは期待できませんが、運用方針がわかりやすく、信託報酬などのコストが総じて低いというメリットもあります。

アクティブファンド

アクティブファンドは、高いリターンの獲得を目標に特定の指数を上回る運用成績を目指す投資信託です。
運用のプロが市場や企業を徹底的に調査・分析して独自の観点で組入銘柄を選定するため、運用コストはインデックスファンドに比べて高めに設定されていますが、うまくいけば市場平均を大きく超えるリターンも期待できます。
また、目標とする指数を定めていないアクティブファンドもあり、インデックスファンドではカバーできない独自の切り口で選定した銘柄に投資することも可能です。

インデックスファンドとアクティブファンド、どちらを選ぶ?

インデックスファンドとアクティブファンドでは運用方針が異なるため、ご自身の運用目的やスタンスをもとにどちらを選ぶか決めるのがよいでしょう。

例えば「コストを抑えてシンプルに投資したい」と考えるならインデックスファンド、「将来性のあるテーマで銘柄選定して欲しい」「現金比率を増やすなど急落を避けるような機能が欲しい」といった、インデックスファンドにはないニーズがあるならアクティブファンドを選ぶのもよいでしょう。

インデックスファンドは運用方針が分かりやすく、同じ指数の連動を目指すものであれば単純なコスト比較だけでもある程度合理的なファンドの選定が可能と考えられます。アクティブファンドと比較してコストが低い傾向にあり、ファンドの選定も行いやすいため、初心者の方でも始めやすいと言えるでしょう。

対してアクティブファンドは様々な特徴を持つものがあり、それらをしっかり把握するだけでなく、自分なりの投資方針を明確に持っていないと納得のいくファンドを選定することができない可能性もあります。このため、投資に慣れてきて自分なりのこだわりが出てきた方などにマッチしやすいと言えそうです。

いずれにせよ、資産や国・地域といった分類の方が投資先としてイメージしやすいため、まずはこちらを決定した上で、インデックスファンドかアクティブファンドかの検討をするとよいのではないでしょうか。その上で、それぞれの特徴を踏まえてご自身の運用の目的やスタンスをもとに、自分に合ったファンドを選ぶようにしましょう。

新NISA活用のポイントはやっぱり投資信託

新NISAを最大限活用する場合、非課税保有限度額1,800万円の内600万円はつみたて投資枠で投資する必要があります。つみたて投資枠の対象商品はごく一部のETFを除けばすべて投資信託ですから、投資信託の選別が新NISAの活用の重要なポイントとなります。

一方、成長投資枠では株式やREITにも投資できますが、やはり長期的な資産形成を行う場合、リスク分散の観点からも投資信託は有力な候補となるでしょう。

つみたて投資枠のみでコツコツ投資する場合も、成長投資枠も使って柔軟に投資する場合も、投資信託の基本的な選び方を学んでおいて損はありません。

どの投資信託を選ぶ?確認すべきポイント

投資信託を選ぶ際は、商品ごとの特色やリスク、手数料や信託報酬などのコストを把握したうえで選ぶことが大切です。

ここでは、投資信託を選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。

投資信託の特色を確認する

投資信託を選ぶときにまず確認したいのが、投資信託の目論見書(もくろみしょ)などに記載されている投資信託(ファンド)の特色です。
投資信託の特色には投資信託が主に投資する資産や国・地域について書かれているだけでなく、インデックスファンドの場合は連動を目指す指数についても記載されています。

投資信託の特色を見れば端的に「何に投資する投資信託か」が分かるため、最初に確認することでその投資信託が投資候補になり得るかどうかをすぐに判定することができます。

投資信託の運用成績を確認する

投資信託を選ぶときは、過去の運用成績を確認することも大切です。

ただし、その際に注意すべきは「単純にどのくらい上昇したか」のみに着目するのではないということです。過去の運用成績が良かったからといって、今後も良いとは限りません。運用成績が良い場合は、投資信託が投資対象とする市場が良かったのか、あるいは投資信託の銘柄選定が良かったのかなどを見極めたうえで、それが今後も続くかどうかを吟味する必要があります。

また、途中でどの程度値動きしたかというリスクについても確認するとよいでしょう。特に、過去最大でどの程度下落したかは投資を決めるうえで非常に重要な判断材料になります。
新NISAでは非課税投資枠の再利用が可能なため、途中で売却しながら資産形成を行うことも視野に入ると考えると、リスクの確認は新NISAを上手に活用するポイントにもなるのです。

投資信託の運用成績は、基本的には基準価額の動きをもとに確認しますが、その際は必ず分配金再投資ベースの基準価額で確認しましょう。分配金の支払い実績がない投資信託であれば基準価額と同じなので問題ありませんが、それ以外の投資信託は分配金額を支払った分だけ基準価額が下落してしまっているため、それを補正してあげないと本来の投資成果を計ることができません。
特に、投資信託同士で比較する場合は分配金額が異なるケースも多いため、分配金再投資ベースの基準価額で比較しないと誤った投資判断につながってしまいます。

ファンドの運用成績からは、様々な情報を得ることができます。上記注意点を理解した上で、積極的に活用しましょう。

投資信託の手数料を確認する

投資信託を選ぶときは手数料を確認しましょう。

投資信託を運用する際にかかる主な手数料は以下のとおりです。

  • ●投資信託を買うときにかかる「購入時手数料」
  • ●投資信託の保有期間中にかかる「信託報酬」
  • ●投資信託を売るときにかかる「信託財産留保額」

購入時手数料は同じ投資信託でも金融機関によって料率が異なります。一方で、信託報酬や信託財産留保額は同じ投資信託であればどこの金融機関でも料率は同じです。

また、信託報酬は直接的に支払いが発生するのではなく、投資信託から毎営業日支払われ、その分基準価額が毎営業日下落することで、間接的に支払うことになります。運用期間中ずっとかかる手数料のため、投資判断をする上で重要な材料となります。
インデックスファンドはアクティブファンドと比べると信託報酬が低い傾向にあると前述しましたが、投資判断においては実際どの程度差があるのかが重要になるため、個別に自分の目で確かめるとよいでしょう。

手数料については安いに越したことはありませんが、信託財産留保額については必ずしもそれが当てはまるわけではありません。なぜなら、信託財産留保額は、投資信託が解約資金を作る際にかかる保有資産の売却コストを解約者自らが負担する意味合いを持つからです。他の手数料と違い支払先が投資信託自体のため基準価額の上昇要因となり、その投資信託の保有者にとってはプラス材料となります。

上記以外にもその他の費用・手数料として保有銘柄等の売買手数料や事務処理に要する諸費用、監査費用などがあります。これらは定期的に見直されるものや売買条件等により異なるものがあるため、料率や上限額等が開示されないのが一般的なので注意しましょう。

投資信託のリスクを確認する

投資信託を選ぶときは、リスクについても必ず確認しましょう。

運用成績のところで値動きについてのリスクに触れましたが、目論見書などには「株価変動リスク」や「為替リスク」など、具体的にどういった要因で投資信託の基準価額が変動するのか、リスク要因についても記載されています。
基本的にはその投資信託にとってより重要なリスク要因が先に書かれており、投資信託の特色と併せて確認することでより理解が深まります。

投資信託の純資産残高を確認する

投資信託を選ぶときは、純資産残高にも着目するとよいと思います。

純資産残高とは投資信託の規模を表す数字で、投資信託の購入金額が売却金額を上回るか、基準価額が上昇すると増加します。このため基準価額の動きと併せて確認すると、その投資信託がどの程度買われているか、人気度のようなものが推測できます。

当然ながら人気度と自分のニーズは別物です。ただ、例えば純資産残高が大きいと、その他の費用・手数料などは規模の効果が働き割安になりやすいなどのメリットもあります。

また、純資産残高があまりにも小さいと投資信託の運用が困難になり、信託期間の途中で運用が終了(繰上償還)してしまうリスクもあるため、投資信託を選ぶ際は純資産残高についても気にかけておくとよいでしょう。

自分に合った投資信託を選ぶには?

これまで解説してきた投資信託の確認ポイントを押さえつつ、自分に合った投資信託を選びましょう。その際には、次の3つの点に着目してみてはいかがでしょうか。

  • ●リスク・リターン
  • ●投資額・運用目的
  • ●年齢

実際はどれか一つのみに着目するのではなく、様々な観点から検討した上で投資信託を選ぶのがよいと考えられます。それぞれ順番に解説します。

リスク・リターンから考える

投資信託を選ぶときはリスク・リターンから考えるのもよいでしょう。

過去の運用成績を見て各資産、各国・地域ごとに想定されるリスク・リターンを確認してみましょう。これらと自分の目標リターンやリスク許容度と比較すれば、ある程度選ぶべき範囲が絞られてくるはずです。

基本的に投資はハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンの傾向があるため、自分が目指すリスク・リターンがどの程度なのかを明確にしましょう。

投資額・運用目的から考える

投資額や運用する目的によってリスク許容度は異なるため、そこを切り口に判断するのもよいでしょう。

例えば教育資金を運用する場合、多くの方は「運用成果によって子どもの進路を変える」ことは許容できないのではないでしょうか。このように、運用成果によって目的を左右されたくない資金を投資する場合はリスクの低いバランスファンドや国内債券ファンドが候補になり得ます。

ただし、低リスクといえど投資は元本割れのリスクをともなうため、それを極力避けたいのであれば元本割れのリスクがより少ない学資保険や元本保証の個人向け国債などでの運用、あるいはそれらを併用した運用も検討してみましょう。

年齢から考える

年齢によってリスク許容度や投資期間などが異なるため、そこから判断するのもよいでしょう。

20〜30代の若年層なら、老後資金の運用は期間を長く確保できるため、外国株式ファンドなど相対的にハイリスク・ハイリターンのものも候補に入るでしょう。

40〜50代の中年層なら、セカンドライフも目前に近づいてくるため、リスクを抑えたバランスファンドなどを組み合わせるといったことも視野に入れるとよいでしょう。

60代以降の高年齢層なら、退職金などを受け取ってまとまった資産を使って運用する方が多くなります。投資で失敗するとこれまで以上に生活へダイレクトに影響するため、インフレに負けない程度のリターンを目標に、減らさない運用を心がけるとよいのではないでしょうか。その際は、リスクの低いバランスファンドや国内債券ファンドが有力な候補となります。

まとめ

新NISAでは、旧制度のつみたてNISAや一般NISAと同様に投資できる投資信託と、除外された投資信託があります。まずは、つみたて投資枠と成長投資枠の対象投資信託を知りましょう。

投資信託には、市場の指数に連動したインデックスファンドと、指数を超えるリターンを目指すアクティブファンドの2種類があり、ご自身の運用の目的やスタンスをもとに、自分に合った方法で運用するようにしましょう。

投資信託を選ぶ際は商品ごとの特色やリスク、手数料や信託報酬などのコストを把握した上で、リスク・リターンや投資額・運用目的、年齢など様々な観点から判断することが大切です。

  • ※本ページの内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

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