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日本も見習いたい!? 「電子政府」エストニアに注目

2020/03/23

知恵のハコ

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エストニアと聞いてどこにあるのか分からない方も多いのではないでしょうか。日本ではあまり馴染みのないエストニア、実は政府主導で国家のIT化が進められており「IT先進国」や「電子政府」などと言われるほど世界でも有数の「行政手続きのデジタル化」が進んだ国なのです。例えば、2017年8月に独自のデジタル通貨「エストコイン」の発行計画を明らかにするなど技術革新に対して積極的な動きを見せています。今回は、そんなエストニアについてご紹介いたします。

エストニア共和国の基本情報

エストニア(地図)エストニアはバルト三国の一国で、人口約132万人(2019年1月時点)、面積は日本の約9分の1程度の4.5万平方キロメートルの小国です。首都はタリンで、タリン歴史地区(旧市街)は1997年に世界遺産に認定されています。主要産業は製造業や発電用のオイルシェールですが、エストニア政府はITなどのイノベーション産業の誘致・育成を積極的に行っているのが特徴です。また、エストニアは国策としてIT立国化を進めており、電子政府、電子IDカード、ネットバンキングなどの普及が顕著です。さらに、エストニアは国政選挙を電子投票で行える世界で唯一の国としても知られています。以下では、そんなエストニアの画期的な政策をいくつかご紹介します。

*バルト海東岸のエストニア・ラトビア・リトアニアの三共和国のこと。

エストニア(地図)

電子政府エストニア

エストニア国民の98%が電子IDカードを所有しています。エストニア政府はこの電子IDカードによって、国民の名前や住所、生年月日などの基本情報のほか、どの分野の教育を受けているのか等の情報を把握することが可能になります。この電子IDカードを所有しているとエストニア政府が提供する様々なオンライン行政サービスを受けることが出来ます。エストニア政府が提唱する概念として”e-estonia”というものがあります。”e-estonia”とは政府が国民に電子的な手段を提供することで行政手続きを効率化する動きを総称したものです。”e-estonia”を構成する要素は複数ありますが、その中でも特徴的なものをご説明します。

e-estonia(イメージ)

① e-identity
エストニアでは誰でも電子IDカードを発行することができます。実際にエストニア国民の98%がこの電子IDカードを所有しています。電子IDカードを所有すると国民健康保険が利用できるほか、身分証明ができたり、国政選挙の電子投票に参加することができます。このように、電子IDカードひとつでさまざまな行政サービスを受けられることから、エストニアは世界で最も先進的な電子IDカードシステムを構築していると言えます。
このような取り組みは自国民だけでなく、他国民にも及びます。それはエストニアの最も画期的な政策ともいえる制度、e-Residencyです。この制度は世界中のエストニア非居住者に対して電子IDを発行して、エストニアの電子行政サービスを提供するものです。電子IDを所有すれば以下のことができるようになります。

  • オンライン上で世界中のどこからでも短時間で会社を設立できる

  • ビジネス用の銀行口座の開設ができる

  • オンライン上で納税ができる

 上記のサービスは合計165ヵ国約6万2千人に利用されています。特に会社設立についての手続きの簡素さやコストの低さが評価され、1万社以上がこの制度を利用して設立しています。また、2018年には起業しやすい国第1位に輝きました。

② e-governance
エストニアは世界で唯一行政手続きの99%をオンライン上で完結できる国です。この点がエストニアが電子政府と言われるゆえんなのでしょう。エストニア政府によると、行政手続きをオンライン化したことによって年間で844年分の労働時間の削減が可能になったとのことです。 e-governanceのなかでも特徴的なのは国政選挙の電子投票です。エストニアでは2005年から国政選挙での電子投票を実施しており、世界で初めてこの制度を導入した国として知られています。現在ではエストニア国民の44%がこの電子投票制度を利用しています。この制度を活用すると世界中のどこからでも選挙に参加することが可能になります。

③ e-heathcare
エストニアではヘルスケアの分野でも電子化が進んでいます。ヘルスケア関連のデータの99%がデジタル化されており、 e-health recordというデータベースを利用して個人の健康情報を管理しています。 e-health recordの画期的なところは、個人の情報をそれぞれの医療機関が共通して利用できるデータベースに格納していることです。このデータベースにより、初診でも医師が問診せずに、患者の血液型やアレルギーの有無などを知ることができます。この他にも容態が急変した患者が救急車を呼んだ際には、医師は現場に行くまでの間に患者のIDコードを使って健康情報を取得でき、現場に到着したときに迅速かつ適切な対応をとることが可能になります。

最後に

ここまでエストニア政府の先進的な取組みをご紹介しました。国民のさまざまな情報をデータベースで一元管理し、あらゆる分野で活用しているのが印象的です。我が国日本でもマイナンバーカードを利用した個人情報の一元化を目指していますが、2019年4月時点でのマイナンバーカードの交付率は13%に留まっています。マイナンバーカードを普及させる方法を考察するにあたって、99%の普及率を誇るエストニア政府の電子ID制度は非常に参考になるのではないでしょうか。このように、エストニア政府から学ぶべき点はたくさんあると思います。今回の記事で皆さまがエストニアについて興味を持ち、さらに知りたいと思っていただければ幸いです。

出所:外務省、e-estoniaなど各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成

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