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アセットマネジメントOne

投資のアノマリ―を資産運用に活用しよう!その検証結果は?

2019/06/25

知恵のハコ

『アノマリー』とは

『アノマリー』という言葉を聞いたことはありませんか?アノマリーとは、ある法則からみて説明できない事象のことを言います。投資の世界におけるアノマリーとは、はっきりとした理論的な根拠を持つ訳ではないものの、実際によく当たるとされる経験則を指します。様々なアノマリーを知っておくことは投資判断を行う上で有益と考えられます。今回はこうしたアノマリーに関して、いくつかの事例を検証してみます。

① 逆イールド(長短金利の逆転)は景気後退を示唆?

昨年来、市場で注目を浴びているテーマに『逆イールド』があります。逆イールドとは、長期金利が短期金利の水準を下回る現象を指し、景気後退に先行するとされます。実際、米国における過去の逆イールドの局面を見ると、景気後退に先行している様子がうかがえます。一般的に金融機関は預金などの短期借り入れを元手に長期で貸し出しを行い、利ザヤを稼ぎます。その利ザヤ(=長期金利-短期金利)がマイナスになる逆イールドの局面では金融機関が貸し出しを渋り、企業が設備投資などを手控えることで、経済活動が停滞すると考えられます。
実際、昨年12月や今年3月に逆イールドが発生した際には景気後退に対する懸念から株式市場が一時急落しました。

過去の逆イールド局面
過去の逆イールドの局面

※期間:1989年1月2日~2019年5月31日(日次)
※網掛けは景気後退局面
※NYダウは逆イールド突入後から、景気後退前までの推移
※NYダウは各逆イールド突入時点を100として指数化
出所:ブルームバーグ、NBER(全米経済研究所)のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

しかし、過去の局面をみると考え方が多少変わってくるかもしれません。逆イールド発生以降の株価の動きをみると、株価は実際に景気後退に陥るまでは約20~30%近く上昇しています。また、逆イールド発生から景気後退に陥るまでの期間は1年半~2年半程度となっています。
逆イールドを景気後退の先行き指針として参考にしつつも、すぐにリスク資産を手放すのではなく、過去の局面を分析したうえで投資判断を行うのが良いと考えられます。

② 米大統領選挙前年の米国株は上昇基調で推移?

米大統領選挙前年の米国株は上昇する割合が高く、アノマリーの1つとされています。1950年以降の米大統領選挙前年の米国株の推移を見ると、NYダウが17回中16回上昇、S&P500種指数が17回中15回上昇しており、高確率で上昇していることが分かります。これも、確かな根拠はありませんが、一つの要因としては、米大統領選挙前年に選挙活動に向けた動きが活発になると、票の獲得を意識した景気刺激策的なマニフェストが掲げられ、投資家の期待感から株価が上昇するといったことが考えられます。

イメージイメージ2019年の米国株は5月31日までにNYダウが6.4%、S&P500種指数が9.8%上昇しています。これは昨年末に暴落した株価が落ち着きを取り戻したといった側面が大きいと考えられます。米中貿易協議の行方や英国のEU(欧州連合)離脱など、政治的な要因が株式市場に与えるマイナスの影響には注意が必要ですが、年末にかけて選挙キャンペーンが活発化するとみられる中、投資先の候補として米国株を選択するのも良いかもしれません。

③ 『sell in May』って何?

投資の格言として『sell in May; 5月に売れ』という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
このアノマリーが支持される理由として、巨額の資金を動かすヘッジファンドやその顧客の決算が6月に控えているため、ヘッジファンドから利益確定の売りが入りやすいこと、夏季は欧米を中心に休暇を取る投資家が増えることから相場が閑散とすることなど様々な要因が考えられます。
実際のところ、このアノマリーは当てはまるのでしょうか?
過去30年の5月の日米株価の騰落率を見ると、日経平均株価は30回中16回上昇、NYダウは30回中20回上昇と当てはまっているようには見えません。実は、この言葉には続きがあり、海外では『Sell in May and go Away. Don’t come back until St. Leger Day; 5月に売って立ち去り、セント・レジャー・デー(9月中旬の土曜日に行われる英国の競馬、セントレジャー・ステークスが行われる日)まで待て』と言われることも多いようです。
ここで、過去30年の局面で、9月末に株を買い、翌年の4月末に売った場合どうなるかを見ると、日経平均株価は30回中17回上昇、NYダウは30回中27回上昇と、特に米国株において高確率で上昇している様子が分かります。5月にただ売るのではなく、9月末に買って翌年の4月末に売るという戦略を採用するのも面白いかもしれません。

最後に

今回は投資のアノマリーとして3つを検証しました。投資の世界には、今回ご紹介した以外にも様々なアノマリーがあります。アノマリーとされる格言の中で、どれが実態に沿っているかを検証し、実際の運用に活かしてみてはいかがでしょうか。

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