近年、日本の株式市場は世界的に注目を集めています。
そんな中、日本株投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。一方、「株式投資って難しそう」と思っている方も多いでしょう。
そんな時に活用できるのが日本株式に投資する投資信託(日本株ファンド)です。日本株ファンドに着目し、投資することで、投資初心者でもいきなりプロの力を借りて投資でき、かつプロの目利きを勉強することが可能です。
本ページでは、そんな0からでも1からでもない、10から株式投資を始めるための勉強方法をご紹介したいと思います。
- 本ページでは、投資を始める準備として勉強方法や教材、投資先を調べるところから始める状態を「0」あるいは「1」、それらの情報を知りながら投資を始めている状態を「10」と表現しています。

なぜ、今日本株なのか?5つのポイントを解説
具体的な方法をお伝えする前に、まずは日本株が注目を集めている主な理由として5つのポイントを解説します。
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東京証券取引所による資本効率の改善要請
2023年3月末、東京証券取引所は上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。具体的に、上場企業は積極的な投資や事業構造改革などにより収益拡大を図ることに加え、自社株買いや増配といった株主還元策を積極的に行うことによって、資本効率を改善する必要があります。
特に、PBRが1倍割れの企業は、十分な市場評価を得られていないと考えられるため、より積極的な対応が求められます。
実際、この要請をきっかけに自社株買いや増配などの株主還元策を発表する会社も出てきており、2024年の自社株買いの総額は約17兆円となり、過去10年で最高となりました。こうした取り組みは日本株市場にとって中長期的な支援材料になると考えられます。株式市場で
自己資本以下の価値
と評価されている -
歴史的な円安の進行
2023年は日本と先進各国との金融政策の違いによって生じた日米金利差から、円安が歴史的な水準まで急激に進行しました。以降も後述する金利水準の差などが意識され、円安状況が継続しています。
日本の大企業で多くの割合を占める輸出企業にとって、円安は業績にプラスに働く傾向があることから、総じて円安は日本株市場に対してポジティブに働く傾向があります。米ドル円レートの推移
- 期間:1994年11月末~2024年11月末(月次)
- 上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
- 出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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インバウンド需要による景気拡大
コロナ禍の移動規制が世界的に緩和・解除されたことに加え、急速な円安の進行などから訪日外国人が大幅に増加しています。
日本は「コロナ収束後に行きたい国」で第1位になったというデータもあり、今後もインバウンド(外国人が訪れてくる旅行)需要の増加による景気拡大への貢献が期待されます。訪日外客数
- 期間:2018年1月末~2024年7月末(月次)
- 出所:日本政府観光局(JNTO)のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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日本の相対的に低い金利水準
2022年より、物価上昇を背景に先進各国は政策金利の引き上げを行った一方で、日本は金融緩和を継続しました。このような金融政策の違いに着目した日本株市場への資金流入が株価を押し上げました。
しかし、日銀は2024年3月にマイナス金利政策の解除を決定、その後段階的に政策金利の引き上げを行っており、反対に利下げを行う欧米との金利差は縮小しています。
ただ、欧米と比較すると依然として低い金利水準にあり、冴えない日本の経済成長や市中の変動金利への影響などを踏まえると、今後大幅な利上げは難しいとの見方も多くみられます。各国・地域の政策金利の推移
- 期間:2014年11月末~2024年11月末(日次)
- 日本は無担保コールレート(翌日物)。ただし、上記期間の内2024年3月18日以前については、日銀は無担保コールレート(翌日物)の誘導ではなく、長短金利操作付き量的・質的金融緩和等にて金融市場を調節する方針としていました。
- 上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
- 出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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デフレ脱却への期待
日本はバブル崩壊後の「失われた30年」と呼ばれる期間、デフレに苦しんできました。
しかし、コロナ禍以降の世界的な金融緩和を背景に日本でも急速なインフレが起こり、賃金上昇も顕在化するようになりました。
インフレの主要因となった円安の進行やエネルギー価格の上昇が落ち着きを見せれば、インフレ率以上の賃金上昇や、その先の景気回復も期待できます。
景気回復による健全なデフレ脱却となれば、日本株にとって中長期的に明るい材料であると言えるでしょう。
日本は人口減少国の筆頭として、株式市場においては相対的にネガティブな評価を長年受けていました。しかし、上記のような理由から日本株市場への注目度は高まっており、今後その評価が見直されることが期待されるのです。
投資のプロ、ファンドマネジャーの目利きを勉強する方法とは?
日本株が注目を集めている理由が分かったところで、いよいよ本題に入りたいと思います。ここからは、日本株の中でより将来性のある銘柄を見つけ出すために、日本株ファンドをどのように活用すればよいかを解説します。
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ボトムアップアプローチのアクティブファンドに着目しよう
投資信託は基本的な運用方針によって、大きくアクティブファンドとパッシブファンド(インデックスファンド)に分けられます。日経平均株価などの株価指数やNOMURA-BPIなどの債券指数といった指数をベンチマークとし、それを上回ることを目指すファンドがアクティブファンド、ベンチマークに連動することを目指すファンドがパッシブファンドと、一般的に定義されています。
アクティブファンドは、市場が見逃している投資機会を発掘することで、ベンチマークを上回る収益獲得を目指します。その代表的な手法・アプローチとしてトップダウンアプローチとボトムアップアプローチが挙げられます。
トップダウンアプローチは、景気変動や財政・金融政策、GDPや家計の動向などマクロ的な投資環境の分析・予測に基づいて、まず国・地域やセクターなどの資産配分を決定し、次に、各々の国・地域やセクター内での個別銘柄を決定する運用手法です。
一方、ボトムアップアプローチは、個別企業の将来の成長性や財務内容などファンダメンタルズを調査・分析することにより銘柄の割高・割安などの投資価値を判断して銘柄を決定する運用手法です。トップダウンアプローチのイメージ
ボトムアップアプローチのイメージ
実際には、トップダウンアプローチまたはボトムアップアプローチのどちらかが採用されるというよりは、投資対象資産やベンチマークに対する超過収益獲得の着眼点などに応じて、どちらかを重視しつつもう一方の要素も組み合わせているケースが多いようです。
日本株投資の目利きを勉強するという観点からは、ボトムアップアプローチを重視するアクティブファンドの方が、個別銘柄の選定理由をより深く追究していると考えられます。 -
実際の保有銘柄を確認しよう
着目するファンドが決まったら、そのファンドの保有銘柄を確認してみましょう。保有銘柄は運用会社のHPに掲載されている運用報告書(全体版)で全銘柄が確認できるほか、多くの場合月次レポートにも主要銘柄が記載されています。
今回は、当社が設定・運用を行うファンド「構造改革ジャパン」を例に確認してみましょう。構造改革ジャパン:第1期運用報告書(全体版)より一部抜粋
- 当期決算日:2024年9月17日
- 当該個別銘柄の掲示は、銘柄推奨を目的としたものではありません。
- 上記は過去の運用実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
運用報告書(全体版)では保有全銘柄に加え、評価額から組入比率の大きい銘柄が確認できます。また、第2期決算以降は前期末と当期末の両方の株数が記載されるため、当期に新規で組み入れた銘柄や買い増した銘柄なども分かります。
ただし、一般的に運用報告書は1年もしくは半年ごとに作成されるため、相応に情報が古い場合があることには注意しましょう。構造改革ジャパン:月次レポート(2024年10月)より一部抜粋
- 組入比率は純資産総額に対する割合です。
- 特定の銘柄の推奨を目的としたものではありません。また、将来の値動き等を示唆するものではありません。
- あくまで作成時点での見解等を開示したもので、将来の市場環境の変動やファンドの値動き等を保証するものではありません。
月次レポートでは一部の銘柄のみが掲載されている一方、毎月作成されるため、運用報告書と比較して情報が新しいことが特徴です。また、ファンドによっては上記のように銘柄に関するコメントなどが掲載されていることもあります。
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投資理由を考えてみよう
前述したとおり、アクティブファンドは市場が見逃している投資機会を発掘することで、ベンチマークを上回る収益獲得を目指します。このため、保有銘柄全てについて、ファンドマネジャーがベンチマークを上回る収益獲得が期待できると判断する理由が必ず存在すると言えます。
例えば、構造改革ジャパンの月次レポートによると2024年10月末時点の組入比率1位の銘柄はニチアスという保温・断熱分野のニッチかつ高シェア製品を幅広い分野に展開する企業です。コメント欄には同社の特徴や強みの他、投資理由についても触れられています。
この情報をもとに、保温・断熱関連市場の成長性や業界内における同社の優位性を自分なりに調べることで、ファンドマネジャーの視点に近付けるようになるでしょう。
このように、ファンドの保有銘柄の特徴を知り、これらの投資理由を考えることで、ファンドマネジャーがどのような業界に将来性を感じ、その中でどのような企業に優位性を見出しているのかというプロの目利きの一側面を勉強することが可能です。
なお、月次レポートに銘柄概要が掲載されていない場合は自分で調べる必要があります。直接企業のホームページからリサーチするのが確実ですが、簡単な概要であれば、「Yahoo!ファイナンス」や「株探」、「みんかぶ」といった一般的な株式情報サイトや、「REUTERS」や「Bloomberg」、「QUICK Money World」といった金融情報ベンダーのサイトからも確認できます。 -
保有銘柄の確認は自分に合ったファンド選びにもつながる
ファンドマネジャーが選んだ銘柄が実際に必ず上昇するとは限りません。また、アクティブファンドはファンドそれぞれの運用哲学やファンドマネジャーのスキル・経験の下で銘柄が選別されており、保有銘柄もそれぞれ異なります。ここにアクティブファンドの運用成績に優劣が生まれる大きな要因があります。
運用成績が良いファンドを探すことは、大きく上昇する銘柄を探すことと同じくらい難しいことです。しかし、ファンドの特色を比較することに加え、保有銘柄を確認し、納得感のある銘柄に投資しているかどうかまで調べることで、少なくとも、より自分の考えに合ったファンドを選別することができるようになるでしょう。
保有銘柄の確認は、プロの目利きを勉強するだけでなく、自分に合ったファンド選びをする上での一つの判断材料として役立ちます。 -
実際にファンドを購入して学ぼう
これまでご紹介した方法は、実際にファンドを購入しなくても行うことが可能です。しかし、実際にファンドを購入し、ファンドを通じてその銘柄に投資することで、より自分事として銘柄について勉強することができるのではないでしょうか。自分事として勉強することは知識の吸収やスキルの獲得の速さを大きく高めることにつながると考えられます。
そして何より、ファンドを通じて株式投資をスタートすることができます。株式投資においては、企業の事業継続性や財務健全性などのリスク要因の分析も非常に重要ですが、これについてもファンドマネジャーは十分に考慮した上で銘柄を選択しています。ファンドを購入することでこうした株式投資に必要な分析をある程度ファンドマネジャーに任せて投資を開始できる。これが、10から株式投資を始めるための最も大切なポイントになるといえるでしょう。
アセットマネジメントOneの日本株アクティブファンドをご紹介
これまで、日本株ファンドからプロの目利きを勉強する方法をご紹介しました。しかし、「やり方はわかったけど、どのファンドから調べれば良いかわからない」という方もいらっしゃると思います。
そこで、最後に当社が設定・運用する日本株アクティブファンドをいくつかご紹介します。
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割安株へ投資を行い、相対的に高い配当収入と値上がり益の獲得を目指します。株価のバリュエーションに着目しつつ、それぞれの企業のファンダメンタルズ等も勘案します。
2024年10月末時点の保有銘柄数は72銘柄です。 -
株式や不動産投資信託証券(REIT)を実質的な投資対象とし、予想配当利回りが高いと判断される銘柄に分散投資を行います。
2024年10月末時点の保有銘柄数は48銘柄です。 -
1つの投資スタイルにとらわれず、グロース株とバリュー株に投資し、その組入配分を変えることにより、いろいろな相場局面において収益の獲得を目指します。
2024年10月末時点の保有銘柄数は100銘柄です。 -
投資環境の変化に応じて、成長系(グロース系)、割安系(バリュー系)、大型、中小型といった視点等から、その局面で最適と思われる投資スタイルに比重を置いた配分を行います。
2024年10月末時点の保有銘柄数は178銘柄です。 -
徹底した銘柄調査と企業との対話に基づき、主に事業構造改革による収益力の向上が期待される企業や資本効率の改善を図る企業を組入候補銘柄として選定します。
保有銘柄数は25~50銘柄程度とします。 -
銘柄調査と企業との対話に基づき、これからも日本を根幹で支えることができると判断される企業や、今後の成長を担うことが期待される企業を組入候補銘柄として選定します。
保有銘柄数は約80~120銘柄とします。
- 上記ファンドのご購入時、ご換金時、保有期間中には購入時手数料、信託財産留保額、信託報酬、その他費用がかかります。
どのファンドもファンドマネジャーが丹念に調査・分析をして選定した銘柄に投資しています。まずは、気になるファンドがどんな銘柄を保有しているのか調べてみてはいかがでしょうか。
本ページが株式投資の勉強の一助となれば幸いです。
ファンド概要についての注意
資金動向、市況動向等によっては、上記の運用方針のような運用ができない場合があります。
投資信託への投資に際しての注意
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