レポート
【レポート】英豪のデキュムレーション戦略①:英国におけるターゲット型サポートとデフォルト型退職所得設計の導入
2026年10月23日
【要旨】
日本でも確定拠出年金(DC)の普及が進む一方、いよいよ「出口」、つまり退職後に資産をどう取り崩し、生活の質(ウェルビーイング)をどう高めるかが主要テーマになりつつある。このデキュムレーションに関するレポートでは、2回に分けて英国・豪州取り組みをとりあげ、日本への示唆を考察する。第1回目の本稿では、その先行事例として、英国がデキュムレーションを巡って何を問題視し、どんな制度・商品・支援体制で対応しようとしているのかを、足元の政策動向まで整理する。
英国では2015年の年金自由化により、終身年金(アニュイティ)一辺倒から、ドローダウンや一括取り崩しへと選択肢が大きく広がった。しかし自由度の拡大は、長寿・インフレ・投資といったリスクを個人が背負いながら複雑な意思決定を迫られることも意味する。公的ガイダンス(Pension Wise)整備や「より強いナッジ」を経ても、必要な支援が届かない「アドバイスギャップ」が残り、そこで導入が進むのが中立的なガイダンスと個別助言の中間に位置する「ターゲット型サポート」である。
さらに英国は、「情報提供だけでは行動変容に結びつきにくい」という現実を踏まえ、積極的に意思決定をしない層を支える「デフォルト型退職所得設計(Guided Retirement)」の導入へ踏み込む。CDC(集団的DC)の活用可能性も含め、退職初期の柔軟性と高齢期の安定所得をどう両立させるのか、制度設計の難所と論点を追うことは、日本の出口戦略を考える上で大きなヒントとなるであろう。
(執筆:石橋 克巳)
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