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NFT業界がもたらす新たな価値観とは~履けないスニーカーが140万円!?~

2022/05/27

知恵のハコ

インターネットの普及で世界中のデジタルコンテンツに触れられるようになりました。デジタルコンテンツというと、「共有や複製が簡単にできる」というイメージをお持ちの方が多いと思います。しかし、この常識が大きく変わり、新しいデジタルコンテンツの保有方法に注目が集まっています。というのも、NFTという技術を活用して、デジタルコンテンツに唯一無二の本物という証明をつけて、唯一無二のデジタルコンテンツを出品、保有、売却できる市場が確立しつつあるのです。そもそもNFTとは何か、NFT業界の活性化によって私たちの生活にどのような機会がもたらされるのかなどを解説します。

NFTとは?

NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の頭文字をとった言葉です。トークンとは、シリアル番号毎の所有権を表すデジタルデータのことです。トークンが唯一無二のものであること、改ざんできないことを証明するためにブロックチェーンの技術が使われています。ブロックチェーンとは、集中管理ではなく、インターネット上にあるデータベースで分散管理し、相互の検証をすることでコピーや改ざんが非常に困難になる仕組みです。

NTFとは

つまり、例えば画像データであれば、画像自体を複製することは可能ですが、トークンが有するシリアル付き所有権データは複製することができないため、容易にオリジナルデータか否かが判別できるのです。

NFTと暗号資産仮想通貨)の違い

ブロックチェーン技術を活用したトークンというと暗号資産仮想通貨)を思い浮かべる方も多いと思います。暗号資産はFT代替性トークン)と言われ、NFTと共通点もありますが、大きく異なる点があります。
共通点は、①改ざんやコピーができない、②取引の追跡が可能、③中央管理者を通さずに価値を移転できるという点です。異なる点は、FTは代替可能ですがNFTは代替不可能な点です。例えば、FTであるビットコインは、「Aさんが保有する1ビットコイン=Bさんが保有する1ビットコイン」となるように数量で表すことができ、1ビットコインであれば誰が保有しているものも同じ価値となります。一方でNFTはサインのように唯一無二の印が刻まれます。しかも、サインと違い複製も不可能かつ簡単に本物と証明できるので、実質的に代替することは不可能といえます。
この「唯一無二のデータ」という性質を利用して、NFTの取引はスマートコントラクトという第三者を介さない仕組みが使われています。スマートコントラクトとは、事前に取引を定義しておき、その定義通りの取引が行われると自動的に所有権が移動する仕組みです。これにより、例えば「シリアル番号○○が付与されたデータを××ビットコインで買う」という条件付きの取引を信頼できる仲介者がいなくても確実に行うことができます。
このように、NFTを活用することでオリジナルであることの証明付きデータを手軽に取引できるようになるのです。ちなみに、NFTは出品者だけでなく、過去の所有者情報も全て調べることが可能です。

履けないスニーカーが140万円で取引!

「オリジナルであることにそこまで価値はあるの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。ですが、その価値が認められた事例が増えています。例えば、2021年4月には履くことのできない鑑賞するだけのバーチャルスニーカーが日本で初めて発売され、約140万円で完売しました。このように何に価値を感じるかは時代とともに変化するものであり、NFTの存在意義が世の中に広く認められ普及するようになれば、驚く価格のNFTが今後も登場する可能性があります。

NFTの取引方法

NFTを出品、購入するためにはNFTマーケットプレイス取引所)を利用します。決済は暗号資産で行われることが一般的です。ただし、取引には手数料(通称ガス代)がかかります。マーケットプレイスでは、コンテンツ作成者クリエーター)が出品することも、クリエーターから購入した商品を販売すること二次販売)も可能です。二次販売された場合、クリエーターにもロイヤリティを支払うよう設定することもできます。これは、先述のスマートコントラクトの技術によりデータの所有者の移動を把握できるため実現可能になります。このように、NFTの技術によってクリエーターの作品を保護し、正当に報酬が支払われるプラットフォームが実現すれば、信頼性の高さから市場の拡大が見込めますし、デジタルコンテンツ等の正当な資産化が実現できます。

取引の流れ

NFTへの投資はチャンスなのか

これまでの話を聞いて、「将来価値が上がると思われるNFT作品を購入し、高額で売却することで利益を出せるのではないか」と考える方も多いと思います。しかし、実際にはNFT詐欺などの犯罪、購入通貨となっている暗号資産の値動き、流動性不安など一般的な投資とくらべるとリスクが高いのが現状です。今後、法整備が進み社会インフラとしての基盤を確立していくにはまだ時間がかかるでしょう。一方で、投資のために保有するのではなく、自分の応援するアーティストの作品など「自分の好きなコンテンツ」を唯一無二のデジタル資産として保有するのであれば、新しい形の資産保有という体験価値として価格の妥当性を判断することも可能です。

デジタルコンテンツの保有の幅が広がる

NFTが普及することで、合法的にデジタルコンテンツを売買したり、貸したりすることがより自由に行えるようになります。電子書籍を例に挙げると、今までは専用のリーダーが必要でした。しかしNFTが普及することで、電子書籍のデータを売却することができます。現状、書籍ならフリーマーケットアプリ等で売れますが、電子書籍のデータは売れません。そのため、売却を考えると書籍の方が価値が高いという見方もできます。しかし、NFTが普及すれば電子書籍を自由な端末で読んだり、手軽にデータを売却できるようになったり、電子サイン入りなど価値を高めたコンテンツの流通も期待できます。

NFTの広がりスポーツ業界・ゲーム業界)

スポーツ業界においてもNFTの活用が広がっています。新型コロナウィルスの影響で試合が中止されたり、チケット数が制限される中で収益源の一つにもなりました。例えば、バスケットボールリーグのNBAでは、NBA Top ShotというサービスでNFTとして発行したNBA選手のトレーディングカードの販売や収集、展示を行うことができ、2021年4月までの取引が6億ドルを超えました。日本では西武ライオンズがNFTを取り入れています。例えば、ヒーローサインパネルムービーや人気選手の2,000安打達成パネルのデジタルデータなどが NFTとして発売されました。
また、NFTを活用したゲームも開発が進んでおり、アイテムやキャラクターを売買することが可能になっています。従来のオンラインゲームと違い、ゲーム会社のプラットフォームではなく、ゲーム外でも売却、貸与等が可能です。NFTゲームで生計を立てる人もいるようです。

WEB3(3.0)の実現とNFT

インターネット上にWEBの仕組みが生まれた1990年から約30年。WEBの在り方も大きな過渡期を迎えており、その中でNFTの普及が期待されています。1990年~2004年までは、WEB1.0と言われ静的で読み取り中心のコンテンツが主流で一方的なものでした。そして2005年~2021年はWEB2.0と言われ、動的コンテンツの普及に加え、SNSやブログなど双方向のコミュニケーションがとれるようになった一方で、中央集権的な管理であるため、ビッグデータを持つプラットフォーマーに富が集中しました。
そして2021年、暗号資産であるイーサリアムの共同創業者であるギャビン・ウッド氏によってWEB3.0という新しい概念が提唱されました。WEB3.0とはブロックチェーンの技術を活用した分散型の管理により、中央管理者が不要となるものであり、集中した富とパワーの再分配が期待されています。この再分配及び、新しい価値を生み出すのにNFTが一翼を担っているのです。

 WEB1WEB2WEB3
コミュニケーション 一方通行 インタラクティブ
双方向)
エンゲージド
つながり)
コンテンツ 静的 動的 ポータブル
パーソナル
主体 企業 コミュニティ 個人

NFT業界の今後

NFTが社会インフラとして機能するためには、法的な定義や法制度の整備が必要不可欠であるといえます。NFTが安全に取引できる市場が確立すれば、デジタルコンテンツ等が正当に評価され、それに見合った価格をつけることが可能になり、更なるコンテンツの充実及び新経済圏の確立が期待できます。NFTの普及が進み、世界の誰もが簡単に安全にNFTの経済圏にエントリーできるようになることで、私たちの生活がより面白く豊かなものになる可能性もあります。今後のNFT業界の動向には注目が集まりそうですね。

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