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今さら聞けない「FRB」ってなに?~世界経済を動かす金融政策~

2021/06/03

知恵のハコ

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ニュースやマーケットレポートなどを見ているとよく出てくる「FRB」という組織。どんな組織なのかご存知でしょうか。今回は、経済について学ぶなら必ず知っておきたいFRBについて、一から解説します。

FRBとは?

FRBとは、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略称で、米国の中央銀行にあたります。FRBは金融政策の実施を通して、米国の雇用の最大化、物価の安定化、適切な長期金利水準の維持を実現し、その結果として米国経済を活性化することを目標としています。日本でいうと、日本銀行のような役割を果たす機関で、FRBは日本銀行と同じように、独立した政府機関であると同時に、国民と議会に対して説明責任を負っています。

FRBの動向は世界中で注目されています。それは、米国経済が世界経済の中心的存在であり、その米国経済を大きく動かすのがFRBであるからです。FRBが実施する金融政策はもちろん、アメリカの金融政策を決定するFRBの会合であるFOMC(Federal Open Market Committee(米連邦公開市場委員会))で話し合われた内容やFRB議長の発言は、世界経済を動かすことがあるほど、大きな力を持っています。

FRBの組織体系はどうなってるの?

FRBという組織は、安全で柔軟な、安定した通貨・金融システムを国家に提供するという目的のもとに連邦議会によって創設されたFRS(Federal Reserve System(米連邦準備制度))という制度のもとに設置されました。歴史は古く、FRBの旧体制連邦準備局は1913年に創設され、1935年に現在の名称に変更されました。
FRSは、FRBと各地区の連邦準備銀行、FRS加盟銀行、FOMC、FAC(米連邦諮問委員会)によって構成される制度です。

FRS (Federal Reserve System)(米連邦準備制度)

FRBは議長1人、副議長1人を含む理事7人で組織されています。FRBは理事会であり、銀行ではないため、実際にはこのFRBのもとで各地の連邦準備銀行が中央銀行業務を行い、米国の金融政策が実施されます。
日本では、日本銀行が金融政策の決定から実施まで担当しますが、米国は連邦制のため地方分権の意識が強く、このような仕組みになっています。

FRB (Federal Reserve Board)

FRBの金融政策を決めるFOMC

FRBの会合であるFOMCは、通常は年8回開催(緊急時には随時開催)され、金融政策を決定しています。日本でいうと日銀の金融政策決定会合にあたるものです。FOMCでは、FRBの理事7人と、12地区の連邦準備銀行総裁(以下、連銀総裁)のうち5人が投票権を有しており、各地区の連銀総裁の5人の内訳としては、ニューヨーク連銀総裁を常任として、残り4人を他の地区連銀総裁から輪番制で選出されることになっています。
※投票権を有していない他の連銀総裁もFOMCには出席し、議論に参加します。

FRBが実施する主な金融政策の手段は、”割引率(公定歩合)の審査・決定”、”預金準備率の決定”、”公開市場操作”の3つであり、そのうち、政策金利(FF金利)の誘導目標をはじめとした公開市場操作の方針決定をFOMCが担当しています。
余談ですが、FOMCに参加する理事・連銀総裁のなかで、政策金利の引き上げに積極的な人を「タカ派」、慎重な姿勢である人を「ハト派」と呼び、FOMCの実施に際しては、そういった各派の姿勢も今後の動向を予想するうえでは重要となることもあるので注目しておくとよいでしょう。

イメージ

FRBによる金融政策

ここまでFRBの概要などについて説明してきました。実際にはどんな金融政策を実施しているかを見てみましょう。 FRBによる主な金融政策は、リーマンショック以降、以下のように実施されてきました。

<2008年9月 リーマンショック>
2008年11月 QE1(量的緩和)開始(米国では初)
2008年12月 ゼロ金利政策の実施
2010年11月 QE2開始
2012年9月  QE3開始

<2013年5月 バーナンキショック>
2014年10月 量的緩和政策終了

<2015年8月 チャイナショック>
2015年12月 ゼロ金利政策終了→政策金利引き上げ

<2020年3月 コロナショック>
2020年3月 QE4

FRBの金融政策を受けた米連銀の純資産総額と金利誘導目標の推移

上のグラフにあるようにFRBは量的緩和や政策金利の誘導等を通して米国経済の活性化を試みています。2020年のコロナショック時には、2020年3月から2021年3月までの一年間で全連銀の総資産が+2.4兆米ドル(約269.6兆円*)となるほどの大規模な金融緩和を行い、米経済の回復を支えました。
*2021年3月末時点の米ドル/円の為替レート1米ドル=110.72円で計算。

最後に

このように、FRBが実施する金融政策は米国経済を大きく動かします。米国経済の動向が世界経済に大きく影響を与えることに鑑みると、世界経済を理解するにはFRBについて理解することが不可欠です。今後はぜひ、FRBの動向にも注目しながら世界経済を眺めてみてください。

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