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早期退職とは似て非なる「FIRE」の意味とは?~投資利益で暮らすために~

2021/08/06

知恵のハコ

「FIRE」と聞いて、何かSNSで炎上したの!?と思う20、30代の方や、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」で有名なセリフ『You are fired!』が印象に残っている中高年層の方もおられるかもしれません。しかし、近年「FIRE」はそれらと違う意味合いで浸透しており、日本でもこの意味で目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。そこで、今回はこの「FIRE」について、その意味や達成方法について解説したいと思います。

FIREとは

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の英語の頭文字で、直訳的には経済的自立(Financial Independence)を確立し、早期退職(Retire Early)することを意味します。この経済的自立の確立というのは、仕事を辞めても継続される必要があるため、資産運用(投資)を中心とした収益で生活基盤を築くということです。早期にサラリーマン生活を終え、資産運用などを中心に生活していくライフプランは数年前から米国や欧州で広がり始めて、日本でもコロナ禍の影響もあり、注目度が上昇してきています。

では、ただの早期退職と一体何が違うのかというと、一般的に早期退職は数億円規模の資産を築き上げ、退職後はお金のことは気にせず悠々自適な生活を送ることがイメージされ、とにかく退職までに大きな資産を築くことに焦点が当たります。一方でFIREは、どちらかというと退職後の生活の方に焦点が当たります。自身や家族が生活していくための(一年当たりの)費用を把握した上で、その費用を運用益(投資利益)で賄うための資産額を逆算し、その金額を計画的に築いていくこと、これがFIRE達成までの道のりとなります。

FIRE達成の条件

では、FIREの達成条件を具体例で見てみましょう。例えば、今後生活していくために年間300万円必要で、運用利回りを年率4%と仮定するなら、必要な資産額は「300万円÷0.04=7,500万円」と計算できます(※計算を分かりやすくするため、ここでは運用にかかる手数料や税金等は考慮していません)。このため、7,500万円を築くことができれば、計算上は築いた資産を取り崩すことなく運用益だけで生涯生活することが可能となり、いつ早期退職してもよい状態となります。

ここでのポイントは、費用を抑えることができれば必要資産額が減り、FIRE達成時期も早めることが可能ということです。上記の例で言うと、節約体質を身に付けることで年間250万円でも暮らしていけるようになれば、必要資産額は6,250万円まで減ります。FIREには、こうした「今の生活を改善する」という達成アプローチもある事は知っておいて損はないでしょう。

一方で、運用利回りについては特に注意すべきポイントとして挙げられます。上記の例で言うと、7,500万円を取り崩さないためには、常に4%という一定の利回りを達成し続けなければなりません。要するに「ある年は0%、翌年は8%で平均4%」といったいわゆる「リスクのある運用」では必ずしも資産を減らさずにいられるとは限らないということです。そして、「リスクのない運用」というと預金が真っ先に思い浮かぶと思いますが、ご存じの通り足元の低金利環境では、預金で年率4%の利回りを達成することは不可能です。このため、どの程度が現実的な運用利回りかは十分に吟味して仮定を置く必要があることに加え、実際にFIREを達成してからも「いかにリスクを押さえて運用するか」は非常に重要なポイントになると言えるでしょう。

FIRE達成の近道とは

2021年4月に施行された改正「高年齢者雇用安定法」では、70歳まで就業機会を延長する「努力義務」が企業に課されるようになりました。改正のポイントは、65歳までの雇用確保(義務)に加え以下5点です。

① 70歳までの定年引上げ

② 定年制の廃止

③ 再雇用などで、70歳まで働ける制度を導入

④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

このように“70歳定年”をきっかけに、さまざまな働き方の課題が出ており、「生涯現役」という言葉も目にするようになってきました。さらに若いうちから「雇用は会社に与えられるものではなく、みずから考えていくもの」という意識をもつことが必要となってきています。

日本の完全失業率と有効求人版率の推移(グラフ)

期間:2016年5月~2021年5月(月次)
出所:総務省のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

※上記は過去の情報であり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。

こうした時代の移り変わりの中で、定年あるいは一つの会社に縛られることそのものが常識ではなくなってきています。FIREについても、完全に労働を止めるのではなく、程よい労働で収入を得つつ残りの必要額を資産運用で確保する「サイドFIRE」という生き方も増えてきているようです。

こうした時代の流れを踏まえると、大切なことは理想的な生き方を実現するための収入を確保するうえで、労働と資産運用のバランスを考えることであり、その一例としてFIRE(労働0%、資産運用100%)という考え方が注目されているのだと思います。好きな分だけ働くこと、あるいは好きなことを収入に繋げることは人生を充実させるだけでなく、(サイド)FIRE達成を早めることができるでしょう。

また、資産の効率的な増やし方を学ぶこともFIRE達成の近道となります。前述したリスクを抑えた運用を学ぶだけではなく、確定拠出年金、iDeCo、NISAなど税制上有利な運用手段を知ることも非常に有効でしょう。

FIREは“生き方改革”。FIREの意味を知ることで自分の働き方をもう一度見直し、これからどんな人生を歩んでいきたいのか改めて考える機会にするのもいいかもしれません。

出所:厚生労働省や各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成

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