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一人っ子政策とは?産児制限緩和で中国はどう変わる?

2021/07/30

知恵のハコ

夫婦がもうける子供の人数を制限している中国で、3人までの出産が認められるようになりました。少子高齢化が急速に進んでいるためです。世界で一番多い中国の人口は2015年には14億人規模となりましたが、その増加率は徐々に鈍化しており、2022年にも減り始めるとの見方もあります。ここでは中国の人口抑制策が社会や経済にどのような影響をあたえたのかを整理します。

中国の「一人っ子政策」とは

1949年、中国建国直後の指導者毛沢東主席は、人口を増やせば経済が発展すると考え、国民に子供をたくさん産む方が良いと呼びかけました。約5億4千万人だった人口はその後急速に増加することになります。このころ中国では積極的な経済拡大政策を行っていましたが、自然災害などが重なったこともあって、増えた人口を賄う食糧が足りなくなり各地で飢饉が発生することとなりました。食糧不足が落ち着くとその反動で1970年代初めにかけて人口が再び爆発的に増加します。食糧不足の再来を防ぎ、それに伴う社会全体の貧困を防ぐため、1組の夫婦がもうけることができる子供の数を制限する「一人っ子政策」が1979年に導入されました。

中国の人口推移を示したグラフ

※期間:1950年~2020年(年次)
出所:国際連合のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

「一人っ子政策」とはどのような政策だったのでしょうか。正式名称を「計画生育政策」といいます。政策は「晩婚」「晩産」「少生」「稀*1」「優生*2」の5つを柱にしているのが特徴で、中国の憲法および婚姻法を法的根拠に、そして各地区の計画出産条例に基づいて実施されました。

*1 2人の出産間隔を延ばして3~4年程度にすること。

*2 民族の素質を高めるべく、徳・知・体どの面からもすぐれた人材になること。

この政策では、第1子をもうけた夫婦が2子を産まないと宣言して、「一人っ子証」を受領することができました。この「一人っ子」宣言をした夫婦には、奨励金や子供の学費補助、医療費の支給、住宅や農地の優先配分などの優遇策が設けられました。一方で、宣言をしなかった夫婦は、賃金のカットや養育費の徴収、昇給・昇進の停止などの罰則が与えられることになりました。また、農村部や少数民族では、第2子出産が許可される例外規定も設けられました。

なお、中国では人の住む場所にも制限が設けられています。農村部と都市部の戸籍を分けて管理して、自由な移動が認められていません。農民は農村部にとどまり、経済成長の原動力となる工業地帯である都市部への食糧供給を安定させるための制度です。しかし、1978年の改革開放後に多くの「農民工」と呼ばれる人々が都市部に流入し、工場などで働くようになりました。賃金が低い農民工が経済成長を支えた一方で、農村に残されて満足な養育を行えないことが社会問題になったこともあり、政府は農村出身者が都市戸籍を取得できるよう規制緩和を進めています。

「一人っ子政策」によって中国はどうなった?

この一人っ子政策の導入によって、人口の爆発的増加は抑えることができました。女性一人が生涯に産む子供の数を出生率といいます。中国ではこれが1960年代には6を超えていたものが徐々に減っていき、1990年代に入ると1台となり、少子高齢化が急速に進むことになったのです。2020年に実施した国勢調査では、65歳以上の人口が全体の13.5%となり、WHO(世界保健機関)などが定義する「高齢社会(65歳以上の人口が14%超)」が目の前に迫っていることがわかりました。日本などはさらに上の21%超となる「超高齢社会」に突入していますが、中国の高齢化のスピードが非常に早く、高齢社会へ移行する期間が日本や欧米各国にくらべ短くなることが予想されています。

中国の出生率推移を示したグラフ

※期間:1960年~2019年(年次)
出所:世界銀行のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

これまで、人口が多いことで多くのモノが売れ、働き手も確保できたことから中国は他に比べ高い経済成長を続けてきました。しかし、この少子高齢化によってこれまでのような成長ができなくなる可能性があると考えられています。経済や国を支える中心的な存在といわれる15歳~59歳の人口はこの10年で3.2%減少しました。また、高齢者のさらなる増加は、医療費の増加など働き手の世代の負担を増やすことも考えられるなど、全国的な社会保障制度の改革も必要となりつつあります。

そこで、その対策の一つとして中国政府は、「一人っ子政策」の緩和へとかじを切ったとみられます。政策緩和はすでに始まっており、2014年に夫婦どちらかが一人っ子の場合に2人目の出産を認め、2016年すべての夫婦にそれを解禁しました。そして、2021年5月末3人まで認める方針を発表したのです。

「一人っ子政策」緩和後は?

産児制限の緩和で、中国経済にはどのような影響が想定されるでしょうか。政府は今回の緩和に合わせ、少子高齢化に対応する国家戦略を審議し、出産休暇など女性が復職しやすい環境を提供することを打ち出そうとしています。

現在の子育て世代である30代から40代は、「一人っ子政策」後に生まれた世代のため一人っ子が多く、一人っ子同士が夫婦となった場合、それぞれの親を含めると4人分介護することになり、その負担の重さが懸念されてきています。そのため、自分たちの子供にはそのような思いをさせたくないという考えをもつ親はこの緩和政策に前向きであろうといわれています。一方で、公立幼稚園などが不足するなかで小学校入学前から塾通いが始まるなど、長年の産児制限の影響から一人っ子が多く父母や祖父母の子や孫への期待が過度な教育熱を生んでいます。都市部の1人当たり可処分所得は4万4,000元(約75万円)足らずなのに、北京や上海では子が高校を卒業するまで250万元かかるとの試算もでています。教育費の高騰に加え、都市部における不動産価格の高騰は、今回の産児制限緩和を推進するうえで足かせになることも十分想定されます。

ここまで、中国の一人っ子政策緩和について整理してきました。中国は建国後70年を経過し、急速な経済成長を遂げる一方でさまざまなひずみを抱えています。人口問題は中国にとって政策総動員で対応していくべきことかもしれません。引き続き、これらの状況の進展には注目が必要でしょう。

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