新NISAの口座開設手続きは? 口座変更や申し込み タイミングについても解説
2024年の新NISA開始を機に口座を開設したい方や、すでにNISA口座を持っているけど金融機関を変更したいと考えている方もいるでしょう。
この記事では、新NISAの口座開設・変更の手続き方法や、いつから手続きをすることができるのかを解説します。
- ●新NISA口座の概要
- ・口座開設期間が恒久化
- ・開設できるのは1人1口座のみ
- ●新NISA口座、開設のための手続きは?
- ・旧NISAの口座を持っていない場合
- ・旧NISAの口座を持っている場合
- ●NISA口座は変更できる?変更するための手順
- ●NISA口座を変更するメリットと注意点
- ・口座変更のメリット1. 商品選択の幅が広がる
- ・口座変更のメリット2. 取引手数料が低くなる
- ・口座変更のメリット3. 運用サービスが使いやすくなる
- ・口座変更の注意点1. 変更するタイミングに注意
- ・口座変更の注意点2. 口座変更前の商品を移管できない
- ・口座変更の注意点3. 口座管理の手間が増える
- ・口座変更の注意点4. 非課税保有限度額に注意
- ●NISA口座の変更を検討したほうがいいケースとは?
- ●口座開設についてよくある質問
- ・NISA口座の開設にはどれくらい時間がかかりますか?
- ・NISA口座の変更にはどれくらい時間がかかりますか?
- ・ジュニアNISAの口座を持っている場合、新NISAの開設はどうすればいいですか?
- ・重複してNISA口座の開設申し込みをした場合どうすればいいですか?
- ●まとめ
新NISA口座の概要
新NISAを始める際には新NISA口座の開設が必要です。旧NISAでは口座開設期間が設けられていましたが、新NISAの口座はどうでしょうか。
ここでは、新NISA口座について知っておきたいポイントを解説します。
口座開設期間が恒久化
前述したように、旧NISAでは口座開設の期間が設けられていました。それに対し、新NISAの口座開設期間は恒久化されています。
いつまでに口座開設をして投資を開始しなければならないという期限がないため、タイミングを気にすることなく、新NISA口座で投資を開始できます。
新NISAについての詳細は「【2024年改正】新NISAとは?変更点と今すべきことをわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
開設できるのは1人1口座のみ
NISA口座は1人1口座しか開設できません。新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できますが、これらも1つの口座で管理するため、別々の金融機関で口座を保有することはできません。
複数の金融機関で口座開設を申し込んでも、開設できるのは1口座のみになるため、申し込みの際には注意しましょう。
ただし、一定の手続きの下、年単位で金融機関を変更することは可能です。
例えば、現在A銀行でNISA口座を開設していて、来年からB証券へ変更する手続きをした場合、A銀行のNISA口座で投資している商品を売却するまでは、B証券と両方のNISA口座を保有することになります。ただし、A銀行のNISA口座で新たに投資をすることはできません。この点は、旧NISAも新NISAも共通です。
※上記は変更手続きした年に変更完了が行われる場合を図示しています。
また、NISA口座以外の証券口座は複数持つことができるため、すでに特定口座、一般口座などを保有している場合でも、新たにNISA口座を開設することができます。
新NISA口座、開設のための手続きは?
旧NISAの口座を開設したかどうかで対応が変わります。それぞれ解説します。
旧NISAの口座を持っていない場合
旧NISAの口座を持っていない場合、所定の申し込み手続きを完了することで新NISA口座が開設されます。口座開設の流れや具体的な手続き方法は各金融機関へご確認ください。
旧NISAの口座を持っている場合
旧NISA口座を持っている場合、口座を開設している金融機関で新NISA口座が自動的に開設されるため、すでに新NISA口座をお持ちのはずです。
金融機関を変更したい場合、変更を希望する年の前年の10月1日から変更手続きを行うことができます。手続きの詳細は、各金融機関へご確認ください。
また、新旧のNISA口座を併用している場合、いくつか確認しておきたいポイントがあります。詳しくは「新NISAとつみたてNISAを併用している場合の注意点は?どっちから売却すべき?比較して解説」の記事も併せてご覧ください。
NISA口座は変更できる?変更するための手順
NISA口座は年単位で変更することができますが、変更手続きの期間が限られており、買付け状況によって変更できない場合もあるので注意が必要です。
変更したい年分の前年の10月1日から変更したい年分の属する年の9月30日までに、手続きを行うことで、金融機関の変更が可能です。
変更手続き方法は以下のとおりです。
- ●変更前の金融機関に、金融商品取引業者変更届出書を提出して勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書の交付を受ける
- ●変更しようとする金融機関に対して当該書類および非課税口座開設届出書を提出する
変更したい年分の属する年に、変更前の金融機関のNISA口座で買付があった場合には、その年分については金融機関を変更することはできません。
例えば、2024年分のNISA口座を変更したい場合、2023年の10月1日から2024年の9月30日までに変更手続きをすれば、金融機関の変更ができます。
ただし、2024年に変更前のNISA口座で金融商品を購入してしまった場合、それ以降2024年の口座変更はできなくなります。NISA口座を変更する際には、よく注意して手続きを行いましょう。
NISA口座を変更するメリットと注意点
NISA口座を変更するメリットとして、商品選択の幅が広がることや、取引手数料が低くなること、運用サービスが使いやすくなることなどが挙げられます。
ただし口座を変更する際には注意すべき点もあるため、よく理解したうえで変更するかどうか検討しましょう。
口座変更のメリット1. 商品選択の幅が広がる
金融機関によって、取り扱う商品が異なります。
投資する商品の選択肢を増やしたい場合、現在口座を開設している金融機関より取扱商品が多い金融機関へ口座変更することで商品選択の幅が広がります。
ただし、単に取扱商品の数が多いかどうかではなく、魅力的と感じる商品の取り扱いがあるかどうかの方が重要であるため、その点を踏まえた上で口座変更をするとよいでしょう。
口座変更のメリット2. 取引手数料が低くなる
同じ商品を購入した場合でも、金融機関によって投資信託の購入時手数料や株式の売買手数料などが異なる場合があるため、より有利な条件の金融機関へ口座変更することで取引手数料を抑えられます。
ただし、つみたて投資枠(つみたてNISA)で購入する場合や、そもそも購入時手数料がゼロのファンド(ノーロードファンド)はどの金融機関で購入しても販売手数料はゼロです。
口座変更のメリット3. 運用サービスが使いやすくなる
金融機関によって、クレジットカードでの決済や保有しているポイントを利用して商品を購入することが可能なところがあります。また、積立投資サービスもボーナス設定など細かな設定に違いがあります。
その他、アプリの使い勝手などのサポート体制も金融機関ごとに異なるため、よりご自身に合った金融機関を見つけたなら、そちらに口座変更をするのもよいでしょう。
口座変更の注意点1. 変更するタイミングに注意
前述のとおり、NISA口座は変更したい年の前年の10月1日から変更したい年の9月30日までしか口座変更手続きができないため、タイミングに注意しましょう。
口座変更の注意点2. 口座変更前の商品を移管できない
NISA口座を変更した場合、変更前の口座で保有している商品を新しい口座に移管することはできません。ただし、変更前の口座で保有している商品は、旧NISAであれば定められた期間まで、新NISAであれば無期限、継続して非課税で保有できます。
口座変更の注意点3. 口座管理の手間が増える
当然のことながら、NISA口座を変更すると、変更前の口座で保有する商品を全て売却しない限り新しい口座で保有する商品と並行して管理する必要があります。口座管理の手間が増える可能性も考慮しておきましょう。
口座変更の注意点4. 非課税保有限度額に注意
新NISAの非課税保有限度額は1,800万円(成長投資枠は1,200万円)で、簿価残高方式で管理されます。新NISA口座内の商品を売却した場合、売却した商品の簿価分の非課税枠を翌年再利用することができます。
例えば、変更前の口座で300万円を投資していた場合、利益や損失に関わらず新しい口座で使用できる非課税投資枠は1,500万円です。そこから変更前の口座で簿価100万円分を売却すると、翌年100万円の非課税投資枠を再利用できるのは変更前の口座ではなく、新しい口座になります。
NISA口座の変更を検討したほうがいいケースとは?
投資においては何に投資するかが最も重要なポイントの一つであるため、投資したい商品の取り扱いが今の金融機関にない場合は、NISA口座の変更を検討すべきでしょう。
他にも、「口座変更のメリット」で解説したように、各金融機関によって手数料やサービスに違いがあるため、より良い条件の金融機関を見つけたなら口座変更を検討してみるとよいでしょう。
口座開設についてよくある質問
ここでは、口座開設についてよくみられる質問を4つピックアップして紹介します。
NISA口座の開設にはどれくらい時間がかかりますか?
NISA口座を開設する期間は書類をWebでアップロードするか郵送するかなどで異なりますが、金融機関が提出された書類をもとに税務署へ重複確認を行う作業が1週間から2週間程度かかるため、一般的には1週間から3週間程度かかるようです。
ただし、税務署の確認前にNISA口座が仮開設される金融機関もあり、最短で数日以内に取引ができる場合もあります。ただし、後日NISA口座の重複が確認された場合、その口座は無効になる(課税口座になる)ため注意しましょう。
NISA口座の変更にはどれくらい時間がかかりますか?
NISA口座を変更する場合、まず変更前の金融機関に金融商品取引業者変更届出書を提出して勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書の交付を受ける必要があります。提出してから届くまでに、1週間から2週間程度かかる金融機関が多いようです。
そして、届いた書類を新しく口座開設を申し込んだ金融機関に郵送し、金融機関はその書類をもとに税務署へ重複確認を行います。この確認作業がやはり1週間から2週間程度かかるようです。
このため、総合すると「金融機関によって差はあるが、スムーズに進んでも1ヵ月程度かかる」と考えておくとよさそうです。
なお、NISA口座の開設状況は、e-Taxを利用して自宅からでも確認ができる*ため、状況に合わせて活用するのもよいでしょう。
*国税庁「NISA口座の開設状況をe-Taxで確認できるようになりました!」
ジュニアNISAの口座を持っている場合、新NISAの開設はどうすればいいですか?
ジュニアNISAの口座を持っている場合、ジュニアNISA口座開設者が18歳になると自動的に新NISA口座が開設されます。
新NISA口座が開設されるタイミングは、18歳の誕生日を迎えたときではなく、18歳の1月1日を迎えたときです。ただし、1月1日生まれの場合はどちらも同じ日となります。
重複してNISA口座の開設申し込みをした場合どうすればいいですか?
重複してNISA口座の開設を申し込んでしまった場合、開設を希望しない金融機関に対して、ただちに開設申し込みの取り消しを申し出ましょう。
金融機関は、NISA口座開設を受け付けると、口座を開設し、税務署に対して重複確認手続きを行います。税務署では、重複確認手続きを受付時順に処理するため、最初に手続きを受け付けた金融機関に口座の開設が認められ、その他の金融機関で開設された口座は無効となります。
無効となった口座で購入した商品は課税対象となるため、重複して口座開設申し込みをしないように注意しましょう。
新NISAの口座開設手続きや口座変更、申し込みタイミングについて解説しました。
旧NISAの口座を持っている場合、すでに新NISA口座が開設されているため手続きは不要です。新たに新NISA口座を開設する場合、開設期間は一般的に1週間から3週間程度かかるようです。
NISA口座の変更は、変更したい年の前年の10月1日〜翌年9月30日までの期間で変更することができます。商品選択が幅広くなる、取引手数料が低くなるといったメリットを得ることも可能ですが、口座変更前の商品を移管できない点や、変更前の口座の商品を売却しても非課税投資枠が再利用できるのは変更後の口座になる点などには注意しましょう。
新NISA口座を開設・変更を行う際にはメリットとデメリットを理解したうえで金融機関を選び、不備のないよう手続きをしましょう。
- ※本ページの内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
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