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知ってる人は得をする!?セルフメディケーション税制とは

2019/12/24

かかる

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皆さまは1年間にどのくらい医療費を支払っていますか?
医療機関にかかることもあるけどそんなに医療費を支払っていない、少しの体調不良なら市販薬を購入することが多い、このような方も多いのではないでしょうか。医療費控除を受けるには年間で10万円以上の医療費の支払いが必要ですが、それに該当しない方でも利用しやすい医療費控除の特例制度「セルフメディケーション税制」が2017年1月1日から始まりました。最近ではメディアなどで耳にすることも増えたこの制度ですが、制度の内容や実際私たちにどのような影響があるかはあまり知られていないように思います。今回は、知っていると家計の節約につながる「セルフメディケーション税制」についてみていきたいと思います。

セルフメディケーション税制の概要

セルフメディケーション税制とは、「自分自身で適切な健康管理を行う」ということを目的とした制度です。2016年9月、厚生労働省は日本国内の医療費が13年連続で過去最高を更新したと発表しました。高齢化が進む日本では、医療費は今後もさらに増え続けることが予想されています。このような状況から、医療費の増加を抑制するための措置として厚生労働省が打ち出した医療費控除の特例が、セルフメディケーション税制なのです。

では、具体的な概要についてみていきましょう。
この制度は、1年間(1月1日~12月31日)に自己負担した対象の市販薬の購入費が12,000円を超える場合、確定申告をすることで、その超えた分について所得から控除できるというものです。
利用するには以下の条件を満たす必要があります。

① 

所得税、住民税を納めている。

② 

健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人である。
*特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診断、がん検診(これらの取り組みにかかった費用は所得控除の対象にはなりません。)

③ 

対象となる要指導医薬品および一般用医薬品を1世帯当たり1年間に12,000円(控除限度額は88,000円)を超えて購入している。

10万円以上でようやく申請できた従来の医療費控除と違い、控除の対象となる金額が大幅に引き下げられたことがポイントです。現状この制度は当初の期限から5年間延長され、2026年12月31日までとなりました。

仕組みと所得控除

ではいったいどのくらい節税できるのでしょうか?
税制で優遇され、税金が戻ってくるというと、条件となる額を超えた額がそのまま戻ってくると誤解されがちですが、そうではありません。所得税や住民税は、課税される所得金額に税率がかけられて税額が決まります。セルフメディケーション税制では、医薬品の購入金額から12,000円を引いた額が課税所得から控除され税金が戻ってくるのです。

<セルフメディケーション税制を利用するときのイメージ>
●課税所得400万円(所得税率20%、個人住民税率10%)の人が、対象の医薬品を年間20,000円購入した場合

セルフメディケーション税制を利用するときのイメージ

8,000円が課税所得から控除される
(対象医薬品の購入金額 : 20,000円 - 下限額 : 12,000円 = 8,000円)

減税額は2,400円
所得税 : 1,600円の減税効果(控除額 : 8,000円 × 所得税率 : 20% = 1,600円)
個人住民税 : 800円の減税効果(控除額 : 8,000円 × 個人住民税率 : 10% = 800円)

※上記は、復興特別所得税は考慮していません。

つまり、「一定額を超えると薬が実質タダになるというわけではない」ことに注意しましょう。

セルフメディケーション税制の対象となる薬

税制の対象となるのは、薬局やドラッグストアで医師の処方箋がなくても購入できる医薬品のうち、医療用医薬品でも使われている86成分(2019年4月15日時点)を含んだ「スイッチOTC医薬品」とよばれるもののみです。対象となる医薬品の品目は厚生労働省のホームページで確認することが出来ます。
なんだか難しいように感じますが、対象品目は1,700以上もあり、風邪薬、鎮痛剤、せき止め、下痢止め、肩こり・腰痛・関節痛の湿布薬、リップクリームなど、私たちが日常的によく使う種類の薬も多く含まれています。また、対象となる医薬品のパッケージには下記のようなマークが表示されていますので目印になります。ただし、このマークは掲載が義務化されているわけではありません。マークが付いていなくても対象となる医薬品もありますので店頭で確認するとよいでしょう。

セルフメディケーション:税控除対象のマーク

12,000円を超えるコツ

医療費控除に比べて控除の対象となる金額が大幅に引き下げられたとはいえ、年間12,000円も医薬品を購入しない、という方も少なくないと思います。しかし、以下のコツを踏まえればそんな方でも12,000円を超えることができるかもしれません。

コツ①家族分もまとめて申請

セルフメディケーション税制では、自分が購入したものだけでなく、生計を一にする家族が購入したものもあわせて申告することが出来ます。そのため、家族分を合わせれば年間12,000円を超えることも可能になります。

コツ②ちょこちょこ買いせずにまとめ買い

市販薬はまとめ買いができるため、数年分常備薬としてまとめ買いすると年間12,000円を超えることも可能になります。

コツ③対象の医薬品の範囲を知る

対象品目は1,700以上あり、意外なものまで対象になっていることもあります。一度品目を確認してみるといいかもしれません。

この制度は当初の期限から5年間延長され、2026年12月31日までとなりました。使用する可能性の高い医薬品や常備薬をまとめ買いすることで有効利用するのも一つの手でしょう。

注意点

セルフメディケーション税制を利用するには、医療費控除と同様に確定申告が必要です。また、申請には医薬品を購入した際のレシートが必要になるため捨てずに取っておかなくてはなりません。さらに、健康の維持増進および疾病の予防への一定の取組を行っていることを証明する必要があります。検診や予防接種を受けたときの領収書や結果通知表なども大切に保管しておきましょう。
もう一つ重要なことは、医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方のみしか利用することができないということです。申請する際に、どちらがより有利なのか考えたうえで利用するようにしましょう。

確定申告が必要(イメージ)

おわりに

従来の医療費控除に比べて対象金額がぐっと下がり、活用できる人が大幅に増えそうなセルフメディケーション税制。条件を満たしているときはぜひ活用したい制度です。上手に活用することで家計の節約につなげていきたいですね。

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