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世の中どう変わる?対策は?消費税8%から10%へ

2019/08/23

かかる

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2019年10月の消費増税(予定)まで残り2ヵ月を切りました(今回の増税は2014年4月以来5年半ぶりとなります。)。増税を受け家計へどのくらいの影響がでるのか心配になります。なお、今回の増税は増税後に消費が落ち込み国内景気に悪影響をおよぼす可能性を少なくするため、政府がいくつかの施策を準備していることが特徴です。ここでは、その増税対策などについて整理してみたいと思います。

軽減税率制度とは?

軽減税率は、今回の増税にあわせてわが国で初めて導入される制度です。外食と酒類を除く飲食料品と定期購読契約をしている新聞については、消費税率が10%になった後も8%のままとなります。特定のものを購入する場合に限り税率が軽減されるのでそのように呼ばれています。

この軽減税率、少し複雑な面があります。酒類を除く飲食料品は8%の対象となるのですが、外食をすると軽減税率の対象外となり、税率は標準税率の10%となってしまうのです。軽減税率の適用対象外となる外食の判断基準は、「テーブル、いす、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、飲食料品を飲食させるサービス」とされており、例えばハンバーガー店で、ハンバーガーを注文して店内で食べた場合には消費税率が10%となり、テイクアウトにした場合には消費税率が8%になるのです。

飲食料品と同様に軽減税率の対象となるのが新聞です。定期購読の契約をしている新聞のみが対象となり、自宅に週2回以上配送されてくる新聞がそれに該当します。週に1回、月に1回しか発行されないものは対象外となります。また、毎日発行される新聞でも、駅の売店やコンビニで購入する場合は軽減税率の対象となりません。

なぜ、軽減税率が導入されるのか?

軽減税率は、低所得者の負担を軽減するために導入されます。わが国の税金制度では、税金の支払い能力によって税額が決まります。高所得の人ほど多くの税金を納め、低所得の人ほど納める税金は少なくなります。
一方、消費税は、所得の多い少ないに関係なくモノやサービスの消費に対して課税されます。つまり、年収3,000万円の人でも年収300万円の人でも1万円のモノを購入したら800円の消費税を支払います。そして増税後はこれが1,000円になります。それぞれの年収に対する税金の負担割合を考えた場合、年収300万円の人の方が大きく、増税後はさらにそれが大きくなります。そこで低所得者ほど家計に占める割合が大きいとされる食費にかかる消費税率を8%に据え置くことで低所得者の負担を和らげる目的があるのです。

(参考)軽減税率の概要

軽減税率の対象
税率:8%
軽減税率の対象外
税率:10%
飲料品
食品
お米、野菜、果物、パン、肉類、乳製品、菓子、ミネラルウォーター、ノンアルコールのビール 酒類、水道水、ペットフード
飲食の
パターン
お店からのテイクアウト、お店からの出前、学校給食 レストランや屋台での飲食、ケータリング・出張料理での飲食、社員食堂での飲食、ホテルのルームサービス
新聞 週2回以上発行される宅配の新聞(一般紙、スポーツ紙、経済誌など) 電子版新聞、駅やコンビニで販売されている新聞

※上記はあくまでも一例であり、すべてを表したものではありません。

キャッシュレス決済によるポイント還元

軽減税率の導入と同じく増税時に実施される負担軽減策に「キャッシュレス決済によるポイント還元」が予定されています。このポイント還元制度は、消費者が中小店舗でモノやサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)にて代金を支払った場合には、購入額に最大5%のポイントが付与される制度です。

このポイント還元制度は、2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヵ月間の実施が予定されています。対象となる店舗は、この還元制度に参加するため政府に参加登録した中小企業または個人事業主が運営する店舗です。参加店舗にはコンビニや外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンも還元率は異なりますが含まれます。一方、大手スーパーや百貨店などは還元制度の対象ではありません。どの店舗がポイント還元対象なのか、店頭には消費者にもわかるようにポスターが掲示される予定です。

ポイント還元制度導入の目的

ポイント還元制度の導入目的は、増税による負担額の軽減が主となりますが、それ以外にも世界の主要国に比べ遅れているキャッシュレス化を促進したい、という思いが政府にあるといわれています。2020年の東京五輪開催で世界各地からやってくるキャッシュレス決済に慣れている外国人観光客にスムーズに消費してもらうことで、より大きな経済効果が期待できるのです。足もと○○ペイのようなQRコード決済でさまざまな企業がキャンペーンを実施していますが、これらは10月から始まるキャッシュレス決済によるポイント還元制度および東京五輪での利用を見こした動きの一つといえるでしょう。

(参考)ポイント還元率の概要

ポイント
還元率
対象店舗支払方法
5% 中小企業や個人が経営する小売、飲食、宿泊など キャッシュ
レス
2% コンビニ、外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーン
(還元なし) 上記以外の店舗大手スーパー、百貨店など
すべての店舗 現金

※上記はあくまでも一例であり、すべてを表したものではありません。

また、今回の増税では、増税が施行される10月1日以降の値下げセールが認められています。つまり、大手スーパーや百貨店などの大手小売店では、増税後でも増税分2%を自社負担で値引きして、消費税率8%時と変わらない額で販売するようなセールが行われることが予想されます。一方、中小店舗の中にはこのようなセールに対応できるような資金力がなく、今回のポイント還元制度を設けることで、中小企業または個人事業主を国が支援できるようにしているのです。

ここまで、消費増税に関するポイントをまとめました。今回の増税は、予想される消費の落ち込みに対して政府が多くの施策を準備していることがわかります。紹介した軽減税率とキャッシュレス決済によるポイント還元以外にも、増税負担軽減のための施策には、プレミアム付き商品券や住宅ローン減税、幼児教育の無償化などがあります。 消費増税を前にすると駆け込みで消費しがちですが、今回紹介したような多くの対策により増税後の方が出費を抑えられるかもしれません。しっかりと計画性をもって消費を行うことを心がけるといいのではないでしょうか。

出所:各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成

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