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テーパリングとは?足元の米金融引き締めの経緯とその影響を分かりやすく解説

2022/03/04

知恵のハコ

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最近ニュースやマーケットレポートなどを見ているとよく目にする「テーパリング」。具体的にどのようなものかご存知でしょうか?今回は、テーパリングとは何かを説明した上で、足元の米金融引き締めの経緯と、それが経済やマーケットにどのような影響をおよぼすかを分かりやすく解説したいと思います。

テーパリングとは?

テーパリングを英語で書くと「tapering」で、英語の「taper」は先細りする、徐々に減らしていくという意味です。このため、一般的に投資の世界では、中央銀行が超金融緩和状態から抜け出す過程で採用する出口戦略の一つとして量的緩和策による資産買い入れ額を徐々に減らしていくことを意味します。

テーパリングとは?

米国のFRB(米連邦準備制度理事会)は、 新型コロナウイルス危機が深刻になった2020年3月に政策金利の大幅引き下げに加えて量的緩和を発動しました。それによって米国債などを毎月1,200億ドル(約14兆円)買い入れて大量の資金を供給していましたが、経済が回復に向かったことから、2021年11月に購入量を段階的に減らすテーパリングを開始しました。そして、2021年12月15日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、テーパリングを当初の予定から加速するとし、米国債などを買い入れる量的緩和は2022年3月に終了する方針を決定、また2022年中にゼロ金利政策を解除して利上げを再開する考えを示唆しました。

テーパリング加速を決めた理由

FRBがテーパリング加速を決めた理由として、主に二つが挙げられると考えます。
一つ目はFRBが予想していたよりもインフレ率の指標が上昇したことです。「FRBはインフレ対策で後手に回っている」との批判もあり、テーパリングを急遽加速する方針をとることになりました。
二つ目は政治的な圧力の強まりです。2021年1月に発足したばかりのバイデン政権は、インフレへの世論の不満で支持率が4割まで低下しており、2022年秋の中間選挙を前に対策が急務となります。バイデン氏は2021年11月下旬にパウエル氏をFRB議長に再任すると発表した際に「(パウエル氏は)インフレの脅威に対処し、最後までやり遂げるのに適した人物だ」と強調し、FRBに方針転換を促す姿勢をみせていました。

テーパリング加速を決めた理由

FRBの利上げ再開と経済への影響

FRBは、2022年1月26日に開かれたFOMCで、「2%をはるかに上回るインフレ率や堅調な労働市場を踏まえ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き上げることが間もなく適切になると予想している」という声明を出し、3月にFF金利の誘導目標を引き上げる可能性が高いことを示唆しました。また、記者会見でパウエル議長は「条件が揃えば3月の会合での利上げを想定している」と述べ、3月の利上げ開始の可能性が高まりました。
米国株相場は乱高下が続いていますが、パウエル議長は「金融の安定性は全体として管理可能だ」と語っています。しかし、基軸通貨ドルをつかさどるFRBの利上げ再開は、世界経済の下押し圧力となるとみられます。世界各国は財政当局も民間企業も債務を膨らませており、わずかな金融引き締めでも返済負担が大きく増加します。コロナ禍とインフレと金利上昇が同時に襲う厳しい経済局面で、今後の展開が注目されます。

日本への影響は?

日本への影響は?

日銀は、2021年12月17日の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を表明していますが、3月に実際にアメリカが利上げに踏み切れば、日米の金利差拡大でドル買い円売りが進むのではとの見方もあります。そうなれば円安による輸入コストが膨らみ、収益を圧迫される企業が増えたり、品物の値上げで私達消費者にも影響が出てくると考えられます。
2022年、経済やマーケットだけでなく私達の仕事や暮らしにも影響を与えかねない米金融引き締め見通しに注視が必要な状況は続きそうです。

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