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【ゼロから解説】米国雇用統計とは?株価への影響は?

2021/08/26

知恵のハコ

経済ニュースなどで時々耳にする「米国雇用統計」。米国の雇用情勢を示す経済指標であることは分かると思いますが、一体どのような指標なのか正確には知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この指標が何を表しているのか、また発表された内容からどんなことが分かり、景気状況をどのようにとらえたらよいかを分かりやすく解説したいと思います。

米国雇用統計とはどんな指標?

米国雇用統計は、米国の景気の実態を知るうえで最も重要な経済指標のひとつで、月の最初に発表されるため速報性があります。雇用情勢の変動は個人所得や個人消費動向などを如実に知ることができ、米国の金融・経済政策に影響を及ぼすことから世界の投資家や金融機関等の注目度が高いです。

米国雇用統計
発表タイミング 月次、翌月第1金曜日、
ニューヨーク現地時間午前8時30分発表。
(夏時間:日本時間午後9時30分、冬時間:日本時間午後10時30分)
算出方法と項目 調査対象:全米の約16万の企業や政府機関のおよそ40万件のサンプル。
調査対象期間:毎月12日を含む1週間。
公表項目:10数項目(失業率、非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給など)。
公表機関 米国労働省 労働統計局(U.S. Department of Labor Bureau of Labor Statistics)
特徴 月の最初に発表される指標として注目度が高い。中でも最も注目される項目は、非農業部門雇用者数と失業率。雇用情勢の動向により個人所得や個人消費動向などへの波及が予測でき、米国の金融・経済政策に影響を及ぼすことも少なくない。
  • 非農業部門雇用者数
    非農業部門雇用者数とは、農業部門を除く産業で働く人の数とその増減をまとめたものです。前月比の増減で判断され、一般的に雇用が堅調に増加すると賃金も増え、個人消費が拡大すると予測されます。

  • 失業率
    失業率とは、米国内の失業者数(16歳以上の働く意思のある人数)を労働力人口(失業者数+就業者数)で割って算出し、増減とともに公表されます。一般的に失業率が上昇すれば個人消費が減少し、失業率が低下すれば個人消費が増加すると予測されます。

米国雇用統計は株価にどのような影響を及ぼす?

米国の経済規模は、世界の名目GDP(国内総生産)の約1/4を占め世界最大となっており(2020年時点)、米国経済の約7割を個人消費が占めています。そのため、米国の個人消費に影響を及ぼす米国雇用統計は米国および世界からの注目が高くなっています。
また、米国雇用統計では、統計発表前に市場予想値が発表されています。発表された結果がこの市場予想より良い場合、投資家は米国経済の先行きが良好だと判断し、景気への期待から株価は上昇し、ドルが買われ、金利も上昇する材料となります。
一方で、米雇用情勢の改善によりインフレ率が上昇すれば、FRB(米連邦準備理事会)は政策金利の引上げを意識することが想定され、株式市場では警戒感が高まる材料となります。
このように、一般的には雇用統計の内容が良いと株価は上昇する傾向にありますが、状況によってはネガティブな材料にもなり得るので、足元の状況を正確に把握した上で株式や各市場への影響を予想することが重要です。
実際に、非農業部門就業者数(前月比増減)と S&P500種指数(対前月末騰落率)の関係を見てみると、「ある程度は連動しているけど、連動していない場合も少なくない」ことが確認できます。このことから、米雇用統計を参考に投資判断を行っている投資家も多い一方、その数値だけを見て判断しているわけではないと推測できます。私たちが利用する際も、こうした注意点を踏まえた上で投資判断を行うとよいでしょう。

米非農業部門雇用者数(前月比増減)と米失業率の推移のグラフ

※米非農業部門雇用者数および米失業率の期間:2018年6月~2021年6月(月次)
※上記は過去の情報であり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。

米非農業部門雇用者数(前月比増減)とS&P500種指数(対前月末騰落率)の推移のグラフ

※米非農業部門雇用者数およびS&P500種指数の期間:2011年6月~2021年6月(月次)
※米非農業部門雇用者数はグラフの見易さを考慮した範囲としています。範囲外の値については、上段のグラフ「米非農業部門雇用者数(前月比増減)と米失業率の推移」をご確認ください。
※上記は過去の情報であり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。

最後に

このように米国雇用統計は米国の景気を見通すための重要な指標であり、上記のことを意識しながら各経済指標を確認したうえでニュースや株価を見てみると新たな一面に気付くことができるかもしれません。特に、足元ではコロナ禍における景気やFRBの政策動向の先行きを見通す判断材料として、その内容が各市場に与える影響はより大きいと言えそうです。他の指標も確認しながら今起きている出来事を見てみると、世界の繋がりや、世の中の動きもよりはっきり見えてくるかもしれません。

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