2023年に入り、日本の株式市場は世界的に注目を集めています。
そんな中、日本株投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。一方、「株式投資って難しそう」と思っている方も多いでしょう。
そんな時に活用できるのが日本株式に投資する投資信託(日本株ファンド)です。日本株ファンドに着目し、投資することで、投資初心者でもいきなりプロの力を借りて投資でき、かつプロの目利きを勉強することが可能です。
本ページでは、そんな0からでも1からでもない、10から株式投資を始めるための勉強方法をご紹介したいと思います。
- 本ページでは、投資を始める準備として勉強方法や教材、投資先を調べるところから始める状態を「0」あるいは「1」、それらの情報を知りながら投資を始めている状態を「10」と表現しています。
なぜ、今日本株なのか?5つのポイントを解説
具体的な方法をお伝えする前に、まずは日本株が注目を集めている主な理由として5つのポイントを解説します。
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東京証券取引所のPBR1倍割れ企業に対する改善要請
2023年3月末、東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対し改善策の要請を行いました。PBR1倍割れとは、株式市場においてその企業の価値が自己資本の金額よりも低いとみなされていることを表します。
PBRを上昇させるためには、資本を上手く活用して効率よく企業価値の向上につなげること、余剰となった資産を減らすことなどの努力が求められます。
実際、この要請をきっかけに自社株買いや増配などの株主還元策を発表する会社も出てきており、こうした取り組みは日本株市場にとって中長期的な支援材料になると考えられます。株式市場で
自己資本以下の価値
と評価されている -
日銀の金融緩和継続期待
2022年より、物価上昇を背景に先進各国は政策金利の引き上げを行っている一方で、日本は金融緩和継続の状況が続いています。このような金融政策の違いに着目した日本株市場への資金流入が株価を押し上げました。
一方で、日銀は2023年7月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化を決定しました。これが実質的な金融引き締めと受け止められ、日本株市場の重しとなっています。
しかし、欧米ほどの強い引き締めは行わないとの見方も根強く、今後は日銀の金融政策見通しにさらに注目が集まると想定されます。各国・地域の政策金利の推移
- 期間:2013年7月末~2023年7月末(日次)
- 日本の金融市場調節の操作方針は長短金利操作付き量的・質的金融緩和です(グラフは無担保コールレート(翌日物))。また、日本銀行の当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利が導入されています。
- 上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
- 出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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歴史的な円安の進行
前述した金融政策の違いなどから日米金利差は拡大し、円安が歴史的な水準まで急激に進行しました。
日本の大企業で多くの割合を占める輸出企業にとって、円安は業績にプラスに働く傾向があることから、総じて円安は日本株市場に対してポジティブに働く傾向があります。米ドル円レートの推移
- 期間:1993年7月末~2023年7月末(月次)
- 上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
- 出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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インバウンド需要の回復
コロナ禍の移動規制が世界的に緩和・解除され、今後旅行者数が増加することが予想されます。このような環境下、日本は「コロナ収束後に行きたい国」で第1位になったというデータもあり、インバウンド(外国人が訪れてくる旅行)需要の増加が特に期待できる国として挙げられます。
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バフェット氏の投資をきっかけに海外投資家の注目が高まったこと
2023年4月、投資の神様と呼ばれているウォーレン・バフェット氏がさらなる日本株への投資意向を表明していることが報道されました。この報道をきっかけに、日本株市場は海外投資家からの注目をさらに集めるようになったとみられます。
日本は人口減少国の筆頭として、株式市場においては相対的にネガティブな評価を長年受けていました。しかし、上記のような理由から日本株市場への注目度は高まっており、今後その評価が見直されることが期待されるのです。
投資のプロ、ファンドマネジャーの目利きを勉強する方法とは?
日本株が注目を集めている理由が分かったところで、いよいよ本題に入りたいと思います。ここからは、日本株の中でより将来性のある銘柄を見つけ出すために、日本株ファンドをどのように活用すればよいかを解説します。
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ボトムアップアプローチのアクティブファンドに着目しよう
投資信託は基本的な運用方針によって、大きくアクティブファンドとパッシブファンド(インデックスファンド)に分けられます。日経平均株価などの株価指数やNOMURA-BPIなどの債券指数といった指数をベンチマークとし、それを上回ることを目指すファンドがアクティブファンド、ベンチマークに連動することを目指すファンドがパッシブファンドと、一般的に定義されています。
アクティブファンドは、市場が見逃している投資機会を発掘することで、ベンチマークを上回る収益獲得を目指します。その代表的な手法・アプローチとしてトップダウンアプローチとボトムアップアプローチが挙げられます。
トップダウンアプローチは、景気変動や財政・金融政策、GDPや家計の動向などマクロ的な投資環境の分析・予測に基づいて、まず国・地域やセクターなどの資産配分を決定し、次に、各々の国・地域やセクター内での個別銘柄を決定する運用手法です。
一方、ボトムアップアプローチは、個別企業の将来の成長性や財務内容などファンダメンタルズを調査・分析することにより銘柄の割高・割安などの投資価値を判断して銘柄を決定する運用手法です。トップダウンアプローチのイメージ
ボトムアップアプローチのイメージ
実際には、トップダウンアプローチまたはボトムアップアプローチのどちらかが採用されるというよりは、投資対象資産やベンチマークに対する超過収益獲得の着眼点などに応じて、どちらかを重視しつつもう一方の要素も組み合わせているケースが多いようです。
日本株投資の目利きを勉強するという観点からは、ボトムアップアプローチを重視するアクティブファンドの方が、個別銘柄の選定理由をより深く追究していると考えられます。 -
実際の保有銘柄を確認しよう
着目するファンドが決まったら、そのファンドの保有銘柄を確認してみましょう。保有銘柄は運用会社のHPに掲載されている運用報告書(全体版)で全銘柄が確認できるほか、多くの場合月次レポートにも主要銘柄が記載されています。
今回は、当社が設定・運用を行うファンド「MHAM新興成長株オープン(愛称:J-フロンティア)」を例に確認してみましょう。J-フロンティア:第23期運用報告書(全体版)より一部抜粋
- 決算日:2023年2月24日
- 当該個別銘柄の掲示は、銘柄推奨を目的としたものではありません。
- 上記は過去の運用実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
運用報告書(全体版)では保有全銘柄が確認できます。また、「評価額」の欄から組入比率の大きい銘柄、「株数」の欄から当期に新規で組み入れた銘柄や買い増した銘柄なども分かります。
ただし、一般的に運用報告書は1年もしくは半年ごとに作成されるため、相応に情報が古い場合があることには注意しましょう。J-フロンティア:月次レポート(2023年7月)より一部抜粋
- 当該個別銘柄の掲示は、銘柄推奨を目的としたものではありません。
- 組入比率は、純資産総額に対する比率を表示しています。
- 上記は過去の運用実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
月次レポートでは一部の銘柄のみが掲載されている一方、毎月作成されるため、運用報告書と比較して情報が新しいことが特徴です。また、ファンドによっては上記のように銘柄の概要が掲載されていることもあります。
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投資理由を考えてみよう
前述したとおり、アクティブファンドは市場が見逃している投資機会を発掘することで、ベンチマークを上回る収益獲得を目指します。このため、保有銘柄全てについて、ファンドマネジャーがベンチマークを上回る収益獲得が期待できると判断する理由が必ず存在すると言えます。
例えば、J-フロンティアの月次レポートによると2023年7月末時点の組入比率1位の銘柄はジャパンマテリアルという半導体・液晶関連工場向けのインフラ事業を展開する企業です。概要欄には同社の特徴や強みの他、投資理由についても触れられています。
この情報をもとに、半導体・液晶関連市場の成長性や業界内における同社の優位性を自分なりに調べることで、ファンドマネジャーの視点に近付けるようになるでしょう。
このように、ファンドの保有銘柄の特徴を知り、これらの投資理由を考えることで、ファンドマネジャーがどのような業界に将来性を感じ、その中でどのような企業に優位性を見出しているのかというプロの目利きの一側面を勉強することが可能です。
なお、月次レポートに銘柄概要が掲載されていない場合は自分で調べる必要があります。直接企業のホームページからリサーチするのが確実ですが、簡単な概要であれば、「Yahoo!ファイナンス」や「株探」、「みんかぶ」といった一般的な株式情報サイトや、「REUTERS」や「Bloomberg」、「QUICK Money World」といった金融情報ベンダーのサイトからも確認できます。 -
保有銘柄の確認は自分に合ったファンド選びにもつながる
ファンドマネジャーが選んだ銘柄が実際に必ず上昇するとは限りません。また、アクティブファンドはファンドそれぞれの運用哲学やファンドマネジャーのスキル・経験の下で銘柄が選別されており、保有銘柄もそれぞれ異なります。ここにアクティブファンドの運用成績に優劣が生まれる大きな要因があります。
運用成績が良いファンドを探すことは、大きく上昇する銘柄を探すことと同じくらい難しいことです。しかし、ファンドの特色を比較することに加え、保有銘柄を確認し、納得感のある銘柄に投資しているかどうかまで調べることで、少なくとも、より自分の考えに合ったファンドを選別することができるようになるでしょう。
保有銘柄の確認は、プロの目利きを勉強するだけでなく、自分に合ったファンド選びをする上での一つの判断材料として役立ちます。 -
実際にファンドを購入して学ぼう
これまでご紹介した方法は、実際にファンドを購入しなくても行うことが可能です。しかし、実際にファンドを購入し、ファンドを通じてその銘柄に投資することで、より自分事として銘柄について勉強することができるのではないでしょうか。自分事として勉強することは知識の吸収やスキルの獲得の速さを大きく高めることにつながると考えられます。
そして何より、ファンドを通じて株式投資をスタートすることができます。株式投資においては、企業の事業継続性や財務健全性などのリスク要因の分析も非常に重要ですが、これについてもファンドマネジャーは十分に考慮した上で銘柄を選択しています。ファンドを購入することでこうした株式投資に必要な分析をある程度ファンドマネジャーに任せて投資を開始できる。これが、10から株式投資を始めるための最も大切なポイントになるといえるでしょう。
アセットマネジメントOneの日本株アクティブファンドをご紹介
これまで、日本株ファンドからプロの目利きを勉強する方法をご紹介しました。しかし、「やり方はわかったけど、どのファンドから調べれば良いかわからない」という方もいらっしゃると思います。
そこで、最後に当社が設定・運用する日本株アクティブファンドをいくつかご紹介します。
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2023年9月29日設定の新ファンドです(申込みは9月1日から可能)。徹底した銘柄調査と企業との対話に基づき、主に事業構造改革による収益力の向上が期待される企業や資本効率の改善を図る企業を組入候補銘柄として選定します。
保有銘柄数は25~50銘柄程度とします。
※有価証券届出時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。 -
優れた経営者の質・ビジョン、新しいビジネスモデルや付加価値の高い商品等から企業価値の増大が期待できる企業に着目し、世間に役立つような将来の成長企業を早い段階で見出すことを目指します。
保有銘柄数は20銘柄程度とします。 -
投資環境の変化に応じて、成長系(グロース系)、割安系(バリュー系)、大型、中小型といった視点等から、その局面で最適と思われる投資スタイルに比重を置いた配分を行います。
2023年7月末時点の保有銘柄数は192銘柄です。 -
取得時において創業25年以下または上場後10年以下の企業を目安とする「新興企業」を中心に、大きな成長が期待できる将来有望な企業を発掘し、成長の初期段階での投資を目指します。
保有銘柄数は70~120銘柄程度とします。 -
今後の高い成長が期待できる産業を選定し、その産業の中から特に優れたテクノロジー(技術力)を有し、競争優位を保持できる企業に投資します。
2023年7月末時点の保有銘柄数は57銘柄です。 -
「配当利回り」と「長期にわたる配当の持続性・成長性」に着目します。予想配当利回りの水準のみならず、配当の持続性・成長性に対するリスク要因や確信度等を考慮して、調査対象銘柄の投資魅力度を判断します。
保有銘柄数は20~40銘柄程度とします。
- 上記ファンドのご購入時、ご換金時、保有期間中には購入時手数料、信託財産留保額、信託報酬、その他費用がかかります。
どのファンドもファンドマネジャーが丹念に調査・分析をして選定した銘柄に投資しています。まずは、気になるファンドがどんな銘柄を保有しているのか調べてみてはいかがでしょうか。
なお、「構造改革ジャパン」は新ファンドのため、設定時レポートや最初の月次レポートがリリースされるまで保有銘柄は非開示です。2023年6月末時点のモデルポートフォリオについてはこちらからご確認いただけます。
本ページが株式投資の勉強の一助となれば幸いです。
ファンド概要についての注意
資金動向、市況動向等によっては、上記の運用方針のような運用ができない場合があります。
投資信託への投資に際しての注意
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投資信託は、株式や債券等の値動きのある有価証券(外貨建資産には為替リスクもあります)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は変動します。このため、購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
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運用状況によっては、分配金額が変わる場合、あるいは分配金が支払われない場合があります。投資信託は、預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加えて証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象にもなりません。購入金額については元本保証および利回り保証のいずれもありません。投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなります。