FINANCE
AI金融×AI
金融業界では、AIを活用して、事務作業の効率化のみならず、グローバル化の進展などにより高度化・複雑化する構造を解き明かそうとする動きが高まっています。たとえば、ビッグデータを用いてAIが企業のお金の流れを分析し、すばやく融資の判断を行ったり、スーパーなどの駐車場にある車の台数を把握して、その店の売り上げを予想したりする試みが始まっています。さらに、AIがリアルタイムで経済動向を把握し、株価を予想するなど、AIの活用の幅は広がっています。
運用のプロ、
ファンドマネジャーから見た
「AI運用」
「こちらの将棋観では思いつかない手を指された」
―第2回電王戦で敗れた佐藤名人の言葉
ファンドマネジャーによる運用においては、局面によっては人気業種や人気銘柄に偏ったポートフォリオとなるケースがあり、結果的に、本来個々のファンドにより異なるはずの運用戦略が似通ってくることもあります。
一方でAIを活用した運用（AI運用という。）のポートフォリオを構成する銘柄の面々を見ると、ファンドマネジャーが見過ごしがちな業種や国、銘柄などが多く組み入れられることがあり、私たちファンドマネジャー（ヒト）にとっても示唆に富む内容になっている場合があります。また、一見無関係に見える銘柄群を改めて見返してみたときに、共通項があり、そこにメガトレンドといっても差し支えない「隠れテーマ」が浮かび上がってくることすらあるのです。
異なる投資スタイルの戦略に分散投資する、いわゆる「スタイル分散」は、ヒトによる運用戦略間で検討されますが、将来的にはヒトとAI間で分散を図る、という考え方も広まってくるかもしれないですね。